蜜白玉のひとりごと
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| 2003年10月21日(火) |
私を描くときは、私とわかるように描いてください |
仕事が休みなので、ひとり上野の森美術館にピカソを見に行く。ピカソ・クラシックと題された展覧会で、1914〜1925年のピカソの作品を集めている。前から気になっていて、先週のNHK新・日曜美術館の特集を見たら、ますます行きたくなった。この時代のピカソは、写実的・古典的な画風なのだ。何を描いているのか訳が分からないのとは違い、肖像画などはとても親しみがもてる。
中でも、ロシアバレエ団のバレリーナでもある妻オルガは美しかった。「肘掛け椅子に座るオルガの肖像」は、テレビやパンフレットでは寂しげな表情に見えたけれど、実際に見ると柔らかく微笑んでいるのがわかった。黒地に花模様のドレスを着て、足を組んで椅子に腰かけているオルガは、なんというか艶っぽい。絵の周囲には、ピカソとオルガが互いに見つめ合っているような空気がある。
夕方の美術館はわりと空いていて、しばらくオルガの肖像画を独り占めして見ていた。近づいたり遠ざかったり、真正面から見たり、ちょっと横にずれたり、絵の前をうろうろして発見したのは、絵のやや左側から仰ぎ見ると、オルガは最もいきいきして見える。肌はつやつやしているし、表情は明るく、今にも動き出しそうなくらいだ。オルガはピカソに対して、「私を描くときは、私とわかるように描いてください」とお願いしたという。この言葉を聞いて、ドキドキするのは私だけだろうか。
気に入った絵は時間をかけてじっくり見て、ピンとこない絵はちょっと見たらさっと通り過ぎて、最後にポストカードを数枚買って、外に出る。その中の一枚は相方に送った。
夕暮れの上野公園をフラフラと散歩する。相変わらずカラスとハトが多い。カラスを餌付けしているおばさんがいて、指をさしてカラスになにやら命令している。命令を聞くカラスの姿は、お座りをしている犬のようだ。あのおばさんはもしかすると魔女か。お腹が空いたので家に帰る。
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