蜜白玉のひとりごと
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雨戸を開けると昨夜からの雨が降り続ている。まるで秋の終わりのように肌寒い日。フローリングの床が素足に冷たい。なんだか心細くとてもさみしい気持ちになる。
正午、外のスピーカーがゴソゴソ音をたてる。アナウンスのあとにチャイムが鳴り、1分間黙祷をする。自分の部屋でひとり目を閉じ手を合わせる。目に浮かぶのは、沖縄に住んでいたころ学校の図書室で見た数々の悲惨な写真。田舎道の途中にあった、銃撃で穴だらけにされた古い家。防空壕になったというお墓。戦争で足や腕を失った人々。
私は戦争を体験した世代ではないけれど、沖縄で過ごした時間は私に戦争とは何かをしっかりと刻み付けてくれた。沖縄では折に触れて戦争が語られる。例えば慰霊の日には丸1日かけて特別授業が行われる。写真を見たり、戦争映画を見たり、お年寄のお話を聞いたり。小学生の私にはそれらはただ恐いものでしかなかったけれど、今となってはとても貴重な体験だったと思う。それに、あえて語らずとも、戦争の生々しさというのは風景のそこかしこに今も残っている。そうしたひとつひとつの風景の最後に思い出すのは、デイゴの花の赤い色。デイゴの花が赤いのは、地中にしみこんだ血の現れだと言われている。
雨はどんどん強くなり、昼過ぎには大雨洪水警報が出る。茶飲み友達としておばあちゃんの家に行く予定が、雨と雷のため危ないから来なくていいと電話があり、行かないことになる。結局1日何もすることがなくぼーっと過ごす。
夕方5時、雨はまだ降り止まない。明日はおじいちゃんの初七日。
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