Deckard's Movie Diary
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『百万円と苦虫女』 その年のワーストだった『赤い文化住宅の初子』のタナダユキ監督の最新作。当然、スルーしようかと思っていたのですが、オイラと同じように『赤い〜』をその年のワーストに選んでいた友人が「これはいいんじゃないの!」と言ってたので観て来ました。
終盤までは「この映画、いいじゃん!」と思っていたのですが最後でズッコケました。まぁ、出だしのエピソードも嘘臭かったのですが(おそらく自分を重ね合わせていた捨て猫だったんでしょうけど、その腹いせにあの行動は有り得ないでしょ!)、森山未来演じる中島亮平の行動もワザとらしくてシラけました。だいたい、いきなり「飯を作ってくれない?」なんて図々しく頼むような人間が、どうしてそんなまどろっこしいコトをするんですかね?説得力がありません。彼はそのまま、いい人だけどお金にだらしない人間でいいんじゃいですかね?彼が彼女にお金を借り出した時に「まさか、100万貯めさせない為とかじゃないよな・・・」と思ったのですが、そういう方向に行かなかったので「これはいいわ!」と納得していたら、結局はそれかよ!リアルなエピソードで綴られていたのに、何で急に安っぽい少女漫画のようなエピソードを持ってきたのか意味不明でした。オイラは「飯を作ってくれない?」のセリフからお金を借りるような形になってきて「そうか!そういう奴なんだな、こいつ!最初は「悪いなぁ・・・」とか思いながら借りたんだろうけど、甘やかすとどんどんだらしなくなってくる性格なんだな・・・部屋も散らかってたしなぁ・・・」と納得していたら・・・そんな嘘くさいオチかよ!どうせなら、お金は男女の仲をギクシャクするってオチでも良かったと思いますよ。タイトルに『百万円』とありますし、そういう捉え方もあっても不思議ではないですし、あの年齢で百万ってのは大金ですから目が眩んでもおかしくないでしょ。
ただ、それ以外の部分は素晴らしく、海や山での煩わしい人間関係の出来事等、とても良く出来ていて蒼井優演じる佐藤鈴子の心の重たさが観る者の胸にひしひしと伝わって来ます。その中で、秀逸なのが鈴子と弟の関係で、二人が醸し出す温もりがこの作品の最大の魅力と言っても過言ではないでしょう。特に手を繋ぐシーンは暖かい気持ちにさせてくれます。なるべく人と関わらないで生きて行こうとする鈴子の行動は今の若い人達(ウチの息子も含めて)にはけっこう望むところだったりするのかもしれません。それでも自分の意思に関係なく他人は濃くも薄くも目の前に立ちはだかって来るし、自ら人を好きになってしまうかもしれないし、ホントに生きていくというのは面倒臭いことなんですね。結局は誰かと関わって生きていかなくちゃならないのなら、多少なりとも笑顔でいたいです。努力はしているんですけどねぇ・・・これが中々難しい(自爆)。歩道橋の上の鈴子はちょっと悲しげの良い笑顔でした。
それにしてもだ!蒼井優は相変わらず上手いし可愛いけど・・・驚いたのはピエール瀧!もの凄く上手くなりましたねぇ・・・これからも期待したいです。
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