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2003年08月09日(土) ザ・ファン

8月9日は、語呂合わせで「野球の日」です。
夏の甲子園高校野球は、序盤から台風にたたられていますが、
甲子園がドーム化される日は来るのでしょうか。
選手はもちろん、応援の人々の滞在日数の延びを考えると、
天候に左右されない状況がつくられた方が…とも思うのですが、
その延びも含め、地元では野球特需にもなっているのでしょうか、
よくわかりません。

ところで、我が福島県代表・日大東北高校は、
話題の強豪校の1つでもある今治西高に惜敗しました。
失礼ながら、私にとっては、地元代表がどこということよりも、
地区予選でベスト8まで勝ち進んだ我が母校にぴっくりしました。
まだ共学化されて6年目だというのに、
あの小狭いグラウンドで、よく頑張ったものです。

それはさておき、今日は野球映画をどうぞ。

ザ・ファン The Fan

1996年アメリカ
ビデオ&DVD あり(発売・日本ヘラルド 販売ポニー・キャニオン)
製作総指揮
ビル・アンガー / ジェームズ・W・スコッチドポール / バリー・M・オズボーン
製作
ウェンディ・ファイナーマン(『グッドナイト・ムーン』
監督
トニー・スコット(『スパイ・ゲーム』)
脚本
フォフ・サットン(『くちづけはタンゴの後で』


はっきり言って、かなり不愉快感をかきたてる作品ですが、
ロバート・デ・ニーロの怪演が非常に生きていました。

ナイフセールスマンのギル(ロバート・デ・ニーロ)は
大の野球好きです。
特に、最近地元チームに移籍したボビー・レイバーン
ウェズリー・スナイプス)の活躍を期待していました。
忙しい仕事の合間を縫い、別れた妻のもとで暮らすひとり息子を
連れてスタジアムに試合に見にいくことで
自分は息子にとってヒーローになれると信じて疑いませんが、
実は息子には、これがありがた迷惑でした。
また、仕事を抜け出して試合に駆けつけたことで、
平静さを失っていたギルは、
息子をスタジアムに置き去りにしてしまった上に、
パパはしつこいと嫌がる息子の訴えでストーカー扱いされ、
裁判所命令で、息子に近づくことすらできなくなります。

と、乗っけから「こいつあぶねー」と思わせるつかみも十分。
次に彼は、移籍後どうも調子が出ないボビーの活躍を願い、
彼が欲しがっている背番号「11」の持ち主である
ホアン・プリモ(ベニチオ・デル・トロ)に接触し、
それをボビーに譲ってくれるように説得しようとしますが、
ホアンの「11」への思いも、並々ならぬものがありました。
それを知ったギルは、ホアンに手をかけてしまいます。

一方ボビーは、
自分の子供と同じ名前の重病の子供を励ますために面会したり、
高い移籍金の割に芳しくない活躍や
私生活についてあることないこと書き立てられたこと、
背番号問題でもめていたホアンの死などが重圧になり、
すっかりマスコミやファンへの不信感を強めていました。
そんな折、「憧れのボビーのため」とホアンを殺ったことで
悦にいっていたギルが、
たまたまボビーと接触する機会を得て、有頂天になります。
が、ボビーの口から出てきたのは、
「ファンはアホだ」という、正直な実感とはいえ
いかにも思いやりのない一言でした。
かわいさ余って憎さ100倍、
ギルはボビーへの怒りから、異常性を爆発させ……。

こうしてストーリーをなぞったら、名前が挙がらなかったのですが、
スポーツ記者ジュエル・スターン役を
エレン・バーキンが好演していました。
以前にデ・ニーロと共演した『ボーイズ・ライフ』での、
再婚相手の虐待に怯える女性とは打って変わり、
舌鋒鋭くスランプのボビーに迫る憎ったらしさと、
自立した女性の「さばけた色気」がなかなかです。

ギル役には、もっと「薄い人」を起用した方が
きっともっと終盤に向けての恐怖感を盛り上げたでしょう。
デ・ニーロの濃密さは、その意味でマイナスでもありましたが、
あれだけの怪演を真顔でできるというのも、また彼ならではです。
胸騒ぎのするような恐怖感、いらつき感をお楽しみください。


ユリノキマリ |MAILHomePage