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2003年06月20日(金) リトル・プリンセス/小公女

1926年6月20日、
元宮内庁東宮侍従の浜尾実氏のお誕生日だそうです。

この方の著書で1972年のベストセラーでもある
『女の子の躾け方』という本が、
なぜか我が実家にありましたが、
ある程度漢字が読めるようになってから、
書棚にこの本を発見したときは、ちとビビりました。
親の野望というか、無謀というか、
ボロは着ててもナントヤラの
気高い女性に育てたかったのでしょうが、
どっちかというと、「衣食足りて礼節を知る」の
逆もまた真なりのようなオンナになってしまいました。

そんなわけで、好感度バツグンのお嬢様が登場する
こんな映画はどうでしょうか。

リトル・プリンセス/小公女
1995年アメリカ A Little Princess

アルフォンソ・クアロン監督


2004年公開(予定)の
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の監督起用や、
近作「天国の口、終りの楽園」の
アカデミー外国語映画賞ノミネートなど、
何かと話題のメキシコ生まれの監督、
アルフォンソ・クアロンが演出しました。

この3年後、『大いなる遺産』を現代的にアレンジした作品を
手がけることになりますが、その主演イーサン・ホークは、
『リトル・〜』を見て、その映像センスに打たれ、
出演を決意したという話もあります。


バーネットによる原作が有名なので、
もう既に読んでいるという方も多いかと思います。
または、「ハウス名作劇場 小公女セーラ」(1985)での
島本須美さんのおっとりした声の演技を思い出す方も
あるいはいらっしゃるかもしれませんね。
ざっとした粗筋は……

ロンドンの寄宿学校ミンチン女学院で勉強していた
セーラ・クルーは、
父クルー大尉がダイヤモンド鉱山を掘りあて損ない、
財産を失って亡くなったため、
学校の小間使いとしてこき使われるようになりますが、
学校の隣に住んでいた大富豪の男性の援助で
再びお嬢様として「復活」する……という感じのお話でした。
セーラは、優しいながらも芯が強く、想像力豊かな少女で、
小間使いの生活の中でも、気高さを失いません。


私も子供の頃読んで、
「う〜ん、こいつ子供のくせに出来過ぎ」と思いつつ、
最後には、その一発逆転の展開に、
胸のすくような爽快感を覚えました。

この映画化作品は、
細かい設定等がちょこちょこと変えられています。
まず、冒頭のインドのシーンの美しさ。
クルー大尉の任地ということで、インドで生活していたことは
確かに原作でもわかりますが、
(インドから来た少女なのに、肌が白いので
女生徒たちがびっくりするというくだりがありました)

下品にならない極彩色で、幻想的に表現されていました。
セーラは創作の名人でもありますが、
学院に入学後、自作を女生徒たちに披露するシーンも、
そんな感じのトーンで、美しく映像化されていました。

また、セーラ(リーセル・マシューズ)が入学する
ミンチン女学院は、
ニューヨークにあるという設定になっています。
父親も戦死したというふうに書き換えられ、
クライマックスの展開もやや違うのですが、
何よりも、セーラという少女のキャラクター設定!
ちょっとお節介で、とにかく元気のいい娘です。
マリア・ミンチン院長(エレノア・ブロン)の妹のために、
恋のキューピッドを買って出たりもします。
それもまあ、
愛情深い父親に伸び伸びと育てられた少女ということで、
物おじしない娘になりました……
というふうにとれないこともありません。

とってつけたようなフォローになりますが、この映画には、
「女の子は誰でも生まれたときからお姫様」
なのだというテーマがあるようです。
個人的には、
滅多にいないからこそのプリンセスなんではないかなあ〜
と思うのですが、
まあ、ハリウッドらしいおめでたい解釈も、
愛すべきものとしておきましょう。
……くらいの気持ちで見れば、期待もし過ぎず楽しめましょう。
繰り返しますが、映像美は十分、目の保養になります。


ユリノキマリ |MAILHomePage