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2003年05月18日(日) |
映画よろず屋週報 Vol50「映画タイトルの中のマザー・グース」 |
5月18日は、こ(5)と(10)ば(8)の語呂合わせで 言葉の日だそうです。 そこで本日は、映画タイトルに見るパロディーやもじりなどを、 マザーグースからの引用に絞って集めてみました。 …といってもそこはそれ、知識不足につき、 相当に偏った狭い範囲で、 何とか知り売る限りという感じですので、 目からウロコの意外な発見は期待できないと思いますが、 読んでやってくださいませ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− レディバード・レディバード Ladybird,Ladybird 1994年イギリス ケン・ローチ監督 実話をベースです。 原題ともなっている歌は、まさにこの映画のストーリーを 端的にあらわしているとさえ言えそうなものでした。
子供を失うなど辛い過去を持つマギーと、 彼女に一目惚れし、献身的に尽くそうとする パラグアイからの亡命者ホルヘとの恋愛を軸に、 リアルに酷く描かれた「家族愛」の物語。 マギー、はっきり言ってただのバカ母に見えなくもありませんが、 一応、杓子定規な官僚主義を批判する意図ももってつくったようです。 個人的には、余りお勧めではありませんが、 一応、参考までに。
また、“Ladybird,Ladybird”の中のフレーズ Fly Away Home(おうちへ飛んでお帰り)をタイトルにしたのが 1996年『グース(邦題)』です。 グース(カナダガン)の孵化から巣立ちまで面倒を見る 少女(アナ・パキン)の物語だけに、 文字通り“マザーグース”ですね。 (アメリカ/キャロル・バラード監督)
Ladybird, Ladybird, Fly away home, Your house is on fire And your children all gone ; All except one And that's little Ann And she has crept under The warming pan.
オール・ザ・キングズ・メン All the King's Men 1949年アメリカ ロバート・ロッセン監督 善良で慈悲深かった男が、 政治家として成り上がっていく中で、 どんどん悪に染まっていく過程と、 それを追う新聞記者、そしてその恋人の物語。 タイトルは、 ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に登場する 卵男としておなじみのHumpty Dumptyの一節をとったもので、 「王様の兵隊全部」といったところでしょうか。 塀から落ちて壊れてしまったハンプティ・ダンプティの姿を、 失墜した政治家の信用に重ね合わせたようです。
なお、このKing'sをもじってPresident'sとした All the President's Men 『大統領の陰謀』という映画もありました。 ニクソン大統領のウォーターゲート事件を題材にしたものです。 (1976年/アメリカ/アラン・J・パクラ監督)
Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall, All the king's horses, All the king's men Couldn't put Humpty together again.
カッコーの巣の上で One Flew Over the Cuckoo's Nest 1976年アメリカ ミロス・フォアマン監督 ケン・ケーシーの同名の小説が原作の、 精神病院を舞台にした作品ですが、 この原題は、マザーグースの数え歌 “One,two,three,four,five,six,seven”の一節なのだとか。 強制労働を逃れるために、精神病のふりをして まんまと精神病院に入る主人公(ジャック・ニコルソン)の 自由を求める姿を描いています。 ニコルソンの怪演は、「見なくてもわかる」って気もしますが、 彼とことごとく対立するナースを演じた ルイーズ・フレッチャーも、凄まじさではひけをとりません。 2人仲よく、その年のアカデミー賞主演部門を受賞しました。
営巣をしないことで知られているカッコーなのに、 なんで「巣」なの?という疑問も、 例えば日本のわらべ歌「かごめかごめ」にしばしば登場する 間尺に合わない箇所を思い浮かべると、 何となく納得がいくかもしれませんね。 (「夜明けの晩に」とか「後ろの正面」とか) ちょっと強引ですけど。
One, two, three, four, five, six, seven, All good children go to heaven, Some fly east, Some fly west, Some fly over the cuckoo's nest.
すみれは、ブルー Violets are Blue 1986年アメリカ ジャック・フィスク監督 すみません…じつはこれ、見ていないのです。 シシー・スペイセクとケヴィン・クラインが共演の メロドラマとのこと。 原題は、“Roses are red”の一節です。 バレンタインカードに添える言葉としておなじみで、 高校の英語の教科書などにも載っていましたっけ。 短いので、全文引用しますと、 Roses are red, Violets are blue, Sugar is sweet, So are you. となります。 赤いバラが情熱、青いスミレが誠実さ、 甘い砂糖が(恋の)甘美さをあらわしているとか。 この歌自体は、多くの映画の中に 少々のもじりを加えつつ、さりげなく登場しているようです。
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