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2003年05月17日(土) I love ペッカー

I love ペッカー Pecker
1998年アメリカ
ジョン・ウォーターズ監督


ここのところ、
やれクスリだ、ヒルトン姉妹との御乱行だのと
どうもいい噂を聞かないエドワード・ファーロングですが、
この映画では、とっても愛すべきカメラ小僧を演じていました。

食べ物をつっつく癖があるため、
“ペッカー”と呼ばれている少年(ファーロング)は、
母親にもらったカメラで、身の回りの人々を撮るのが好きです。
一癖も二癖もある家族を初め、
万引き癖のある親友マット(ブレンダン・セクストン三世)や
コインランドリーで熱心に働く
恋人シェリー(クリスティーナ・リッチー)、
その他いろいろ、被写体には事欠きません。

撮りたいから撮る、というだけの、
特に技巧的にどうの、
思想的にどうのという写真ではないわけですが、
その「虚心さ」がよかったのか、
バイト先のアイスクリームショップに面白半分に飾ったところ、
ニューヨークの業界人(リリー・テイラー)の目にとまります。
以後、その稚拙ささえも、
常に新しいものを求めるかの大都会で大受けし、
一躍、時代の寵児になりかけるのですが、
だんだんにいろいろなバランスが崩れ始め、
恋人シェリーからも見限られそうになります。
そこでペッカーが出した結論は?

いきなり何かで有名になっちゃって、
生活環境が変わり、いろいろなものが狂ってしまうというのは
映画や小説のモチーフとして、結構よくあるものでしょう。
が、この映画を撮ったのは、
あのグレート変態監督のJ.ウォーターズですからして、
当然、極端から極端に走るような、
見ていて飽きない展開になります。
多彩な登場人物を見ているだけでも飽きません。

ウォーターズは自分の故郷ボルティモアを舞台にして
名作・珍作・怪作の数々を手がけてきましたが、
これもその、ボルティモア・ノスタルジーを感じさせる1本です。
一服盛られていい気持ち〜、みたいな状態を味わいたいときに
ぜひともお勧め。


ユリノキマリ |MAILHomePage