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2003年02月09日(日) |
映画よろず屋週報 Vol43「ミア・ファローとウディ・アレン」 |
特集「ミア・ファローとウディ・アレン」
1945年2月9日、 女優のミア・ファローが生まれました。 決して醜くはないけれど、 美人女優と言い切るには葛藤があり、 でもって、映画の中のふとした瞬間、 「絶世の美女」になりきっていることもある、 そういう不思議な魅力のある彼女は、 80年代、それが「職業」であるかのように、 恋人ウディ・アレンの映画のヒロインとして活躍しました。 アレンにとっても数々の傑作が生まれた時期だったので、 2人の泥沼離別は、かえすがえすも残念です。
そんなわけで、本日御紹介する映画は、 すべてウディ・アレン監督作ですので、 監督名は割愛させていただきます。 (アレン自らも出演しているものには、 (出)のマークをつけております)
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サマーナイト Midsummer Night's Sex Comedy 1982年(出) アレンとファローの初仕事がコレでした。 原題から察させられるであろうとおり、 いわゆる艶笑コメディーです。 1900年、郊外の別荘で過ごす3組のカップルの スクランブル状態の色恋沙汰を、 じめっとしない調子で見せてくれました。 ファローの役はホセ・ファラー扮する大学教授の 若い婚約者という設定でしたが、 何とこの映画で、悪名高きゴールデン・ラズベリー賞に ノミネートされたそうです。 でも、それほど悪いとも思えませんでしたが… アレンは、メーリー・スティーンバージェンと 倦怠期の夫婦という設定でした。
カメレオンマン Zelig 1983年 (出) アレン作品の中ではこれがベスト!という方も いらっしゃるのでは? 1930年代を舞台にした、人に好かれようとする余り 主体性というものを全く失ってしまい、 そのとき一緒にいる相手とまるっきり同化してしまうため、 「カメレオンのようだ」と評された男、 レナード・ゼリグ(アレン)の物語です。 全くのフィクションでありながら、 まるで実在の人物であったかのような語り口で、 ヒットラーとまで「共演」させてしまった意欲作。 日本では吹替版のみの上映でしたが、 矢島正雄さんの語り口は抜群でした。 ちょうどNHKの海外ドキュメンタリーのような味わいです。 ファローは、ゼリグを診察する医者で、 後に恋に落ちるという役どころでした。
ブロードウェイのダニー・ローズ Broadway Danny Rose 1984年(出) ダニー・ローズは、売れない芸人たちを 心血を注いで世話している人情派のエージェントです。 (アレンがとってもいい感じで演じています) 歌手ルー(ニック・アポロ・フォルテ)のために、 ギクシャクしている彼の愛人との中を 取り持とうと奔走しますが… その愛人役を、ファローが演じました。 ちょっと蓮っ葉なインテリア・デザイナーという設定でしたが、 いつもと違ったとんがった女性の役づくりは、 当時2人が行きつけだったレストランの支配人がモデルとも 言われているそうです。 決して派手さはありませんが、 実はこの映画、私自身のアレン80年代ベスト作品です。
カイロの紫のバラ The Purple Rose of Cairo 1985年 ラジオ・デイズ Radio Days 1987年 実際の製作順番としては、 この2本の間に名作『ハンナとその姉妹』が入りますが、 アレンが監督に徹したこの2本こそ、 入門編としてお勧めしたい作品です。 前者は、1930年代、映画を見ることで 日々の憂さを晴らす気弱な主婦をファローが好演し、 映画ファンの夢とも言える物語展開を見せてくれます。 後者は、みんながラジオに夢中だった 第二次大戦中のニューヨークを舞台に、 ラジオにまつわるおもしろエピソードの数々を軽快に、 それでいて丁寧に編み上げた 見ていて温かくなれる作品でした。 父親の職業(見てのお楽しみ)などから察するに、 やはり、自伝的要素の強い作品のようです。
アリス Alice 1990年 アリスとは、映画の中でファローが演じる 「私ってこのままでいいのかしら」と悩む 金銭的に恵まれた人妻の名前ですが、 「不思議の国のアリス」を意識していることは明らかです。 一時期流行った「自分探し」というキーワードがありますが、 そうしたものに基づいた作品は、 独りよがりになったり、意味不明になったり、 またうっとうしくなったりしがちなものですが(独断) 事この映画に関しては、いらいらしながらも 楽しませてくれます。 最後につかみ取るアリスにとっての「自分の正体」も、 ファロー自身の生き方が反映されているようで愉快。
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