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2002年12月22日(日) 映画よろず屋週報 Vol37 「女性?男性?」

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特集「女性?男性?」

1890年、作家のジョージ・エリオットが亡くなりました。
『サイラス・マーナー』などで知られる作家ですが、
この人は、御存じの方もありましょうが、
本名メアリー・アン・エバンズという、バリバリの女性です。
時代背景を考えれば、「女の書いたものなんて」と軽んじる
読み手の受け取り方を意識した筆名だったのでしょう。
(ディケンズは、この人を女性だと見抜いたという話ですが)

といっても、それから100年以上たった現在でも、
『ハリー・ポッター』シリーズのJ.K.ローリングですら、
「少年は女性作家の書いたものを読まない」との理由から
イニシャルで名乗らされたということですし、
その種の偏見というのは、げに根深いものだと思います。

……という話はともかくとして、
本日は、名前を聞いただけでは
男性か女性かわからない映画人や、
紛らわしい名前が登場する映画を御紹介します。

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(人物編)
ダナ・アンドリュース Dana Andrews
1909-1992

本名カーパー・ダン・アンドリュース。
1940〜70年代に活躍した、すっきりした二枚目さん。
ダナという名前の男性俳優はほかにもいますが、
この人の場合、1940年代初頭という舞台設定の映画
『ラジオ・デイズ』(ウディ・アレン監督)の中で、
少年たちが口々に好みの女優を言う中で、
「ダナ・アンドリュース!」と答えた子が、
「ダナは男だよ」「ダナなんて名前なのに?」
てな感じの会話のネタにされるという
「実績」があります。

グレン・クローズ Glenn Close
1947年生まれ

もともと演技派として鳴らしていたけれど、
『危険な情事』の烈女アレックス役で一躍ブレークした人。
学生時代から、名前のせいで
男性と間違われることが多かったそうです。

アシュレイ・ジャッド Ashley Judd
1968年生まれ

正統派美女ながらコメディーセンスも抜群で、
『恋する遺伝子』『あなたのために』などで
名コメディエンヌぶりを発揮しています。
ところで、この人の名前って
「男みたいだなー」と思っていたのは
私だけでしょうか。
アシュレイといえば、何といっても
『風と共に去りぬ』
スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)の憧れの男性!を
思い出すのですが…
(でもって、アシュレイを演じたのがレスリー・ハワード。
レスリーという名前もまた女性的だし)

レスリー・マン Leslie Mann
1972年生まれ

金髪のまばゆいかわいい美女。
その独特のハイトーンの声のせいで、
どうしてもコミカルな役を振られがちなようですが、
よく合っています。
『ジャングル・ジョージ』『ビッグ・ダディ』
などに出演していました。


(映画編)
スケアクロウ Scarecrow
1973年アメリカ ジェリー・シャッツバーグ監督

刑務所帰りのマックス(ジーン・ハックマン)は、
ひょんなことから、船員上がりでちょっとヘラヘラしている
フランシス(アル・パチーノ)という男と知り合い、
それぞれの目的地に旅を共にするうちに、
またとない友情を温めていきます。
けんかっ早かったマックスが、フランシスに
「人とけんかになりそうになったら、
かかし(Scarecrow)みたいに笑わせてやればいい」
と言われ、だんだんに触発されていく姿がいいのです。
ところで、フランシスの呼び名ですが、
「何だか女みたいだから」とマックスが呼ぶのを嫌がり、
ミドルネームのライオネルからとって、
途中から“ライオン”になりました。

赤ちゃん泥棒 Raising Arizona
1987年アメリカ ジョエル・コーエン監督

御存じ、イーサン&ジョエルの、
コーエン兄弟の初期コメディーですが、
今を時めくニコラス・ケイジホリーハンター
主演なのに加え、
コーエン映画の常連の1人であるジョン・グッドマンが、
ケイジの刑務所仲間として出演していました。
コソ泥ハイ(N.ケイジ)は、
なじみの婦人警官(H.ハンター)と恋に落ちて結婚しますが、
彼女は大の子供好きなのに不妊症で、
加えて、自分の前科のせいで養子もとれない…
そして考えた手段が、邦題のとおりです。
ハンター演じる婦人警官の名前が「エド」で、
「女でエドって名前?」とからかわれるシーンがあります。

スリーサム Threesome
1994年アメリカ アンドリュー・フレミング監督

繊細な魅力のエディと、粗野なスチュワートは、
学生寮のルームメイトで、正反対ながら、
それなりにいい関係を保っていました。
その2人の部屋に、
アレックスという名の「女子」学生が
学校側の手違いで入ってきます。
アレックスはエディに知的な興味を示し、
スチュワートから「いい女だなぁ」とスケベな目で見られつつ、
ある出来事が起こるまでは、
絶妙のバランスで、そこそこうまくやっていくのでした。
エディを『いまを生きる』などのジョシュ・チャールズ
スチュワートが『ユージュアル・サスペクツ』などで知られる
スティーブ・ボールドウィン
そしてアレックスを演じたのは、
近作では『メン・イン・ブラック2』に姿を見せた
ララ・フリン・ボイルでした。


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