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2002年12月05日(木) サム・サフィ

サム・サフィ Sam Saffit
1992年日本/フランス
ビルジニ・テブネ監督


派手なコスチュームでストリップ小屋で踊っていた
エヴァ(オーレ・アッテカ )は、
ある日突然、「まともな生活」に憧れ、
Sam Saffitと戸口に書かれた海辺の家で暮らし始めます。
フランス語で「もうたくさん!」という意味だとか。
彼女は自由きままな生活にうんざりしていたのです。
……………。
マジメそうに見えるスーツを着て、ごくごく普通に働いて、
そんでもって、ごくごく普通に暮らすことに、
彼女は「憧れ」ました。
……………。

その後、年老いたホモカップルの家に住み込みで家政婦をしたり、
役所の窓口で働きながら、マジメそうな男(=結婚相手)を探したり、
そんな日々を送るようになるのですが、
ひょんなことから、人生の方向を変える出来事が2つ起こり、
結局彼女は「華やかな幸せ」をつかむのでした……。

途中、二重に所得を得ていたために、
税金をバカ高く請求されたり、
遅刻や事務能力の低さに対して嫌みを言われたり、
それなりに「やなこと」や「しがらみ」もあるにはあるものの、
結局、余り物事を深く考えない愛すべき女性が、
それなりに幸せになってしまうという、それだけの話です。

ごく私的な感想を述べれば、
自由奔放に生きてきた彼女が憧れる「普通」って、
すごく紋切り型なんですね。
でも、大抵の人が体験する「普通の生活」というのは、
確かに平凡ではあるものの、
決して紋切り型ではないと思いませんか。
全く適切とは言いがたいものの、
「幸せな家庭は皆似ているが、
不幸な家庭はそれぞれに不幸」

ってやつです。 トルストイ『アンナ・カレーニナ』より
不幸、というのは、そう大仰な意味での「不幸」でなくても、
ちょっと嫌なこととか、悩みとか、そういう意味で。
これもいわゆる、「隣の芝生は青い」ということなのでしょうが。

この種の映画の常とも言えますが、とにかく画ヅラはおしゃれです。
色使いはポップそのものだし。
ここ数年はやりの、雑誌によくある「私の部屋見て!」っぽくて、
まねしたくなるようなアイディアがぎっしり詰まっています。
(特に金魚の水槽……金魚的にはどうかわかりませんが)
「これが本当の金魚(近所)迷惑」などと口が滑ったらブチコワシと思いつつ、やっぱり言ってみる


ユリノキマリ |MAILHomePage