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2002年12月01日(日) |
映画よろず屋週報 Vol34「映画の中で映画」 |
特集「映画の中で映画」
映画の日にちなみ、映画作品中で映画を見ていたり、 映画を話題にしていたり、というものを御紹介いたします。 これも数限りなくありますから、 とりあえずの「第1弾」ということで、 今日たまたま思いついたものだけを少し取り上げてみます。
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さよなら子供たち Au Revoir, Les Enfants 1987年フランス/ドイツ ルイ・マル監督 ドイツ占領下のフランスの片田舎にある寄宿学校を舞台に、 ナチスがもたらした悲劇を淡々と描いた作品。 作中、少年たちが『チャップリンの移民』を見るシーンがあります。 (『さよなら子供たち』は、単独では来年1月17日に御紹介予定)
交渉人 The Negotiator 1988年 F・ゲイリー・グレイ監督 同僚の殺害容疑をかけられた 人質交渉のプロ(サミュエル・L.ジャクソン)が、 身の潔白を証明するために、警察に立てこもるため、 その彼の“御指名”で、 別の名うての交渉人(ケビン・スペイシー)を 召還する……というお話。 K.スペイシーが、西部劇フリークという設定でした。 (だから、ある古典名作映画のネタバレが若干あるので御用心を…)
ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption 1994年アメリカ フランク・ダラボン監督 無実の罪でショーシャンク刑務所に投獄された アンディ(ティム・ロビンス)と、 刑務所の古株で、“調達屋”レッド (モーガン・フリーマン)の友情や、 どんな状況下でも抱くことができる希望の光を描いた作品。 アンディがレッドに 「リタ・ヘイワースを調達してくれ」と頼むのは、 刑務所の数少ないお楽しみ、映画上映の真っ最中でしたが、 映画はそのリタ・ヘイワースの『ギルダ』でした。 ちなみに原作では、『失われた週末』を見ている最中だったかと記憶しています。
アメリ Le fabuleux destin d'Amelie Poulain 2001年フランス ジャン・ピエール・ジュネ監督 「金曜の夜、たまに映画を見にいく」アメリは、 他の人が気づかないようなシーンを探すのが大好きで、 トリュフォーの『突然炎のごとく』を見にいったときは、 スクリーンの中で、小さな虫がうごめいているのを見逃しません。 そして、「アメリカ映画の中のよそ見運転のシーンが嫌い」 とも彼女は言いますが、 このとき例に引かれていた映画のタイトルがわかりません。 御存じの方、ぜひとも御一報を!
ウディ・アレンの重罪と軽罪 Crimes and Misdemeanors 1989年アメリカ ウディ・アレン監督 タイトルは、いろいろな解釈ができなくもありませんが、 取り返しのつかない罪がもみ消され、 しょーもない小さな小さな悪事は 神のお目こぼしもなし…というのが 妥当なところでしょうか。 2人の対照的な境遇の男、 眼科医(マーティン・ランドー)、 貧乏映画監督(ウディ・アレン)、 アホだけど力のあるプロデューサー(アラン・アルダ)などの 男性キャラを中心に、彼らを取り巻く男と女、 皆さん達者な演技で持ち分を全うしています。 (もちろん、例によって豪華キャスト) まだ、アレンとミア・ファローがうまくいっていた頃なので、 アレンの思い人として彼女も出演していますが、 彼女に、プライベートで所有している 『雨に唄えば』のフィルムを見せるシーンがありました。 ミュージカル好きだったというアレンの素の顔が見える演出?
チャーリング・クロス街84番地 84CharingCrossRoad 1986年アメリカ デヴィッド・ジョーンズ監督 なぜか映画館内でタバコをくゆらせながら、 売れない作家ヘレン・ハンフ(アン・バンクロフト)が 泣きながら『逢いびき』を見ているシーンがあります。 イギリスびいきの彼女らしい映画と言えなくもないものの、 年中ジンの入ったグラス片手にくわえタバコ、というスタイルで、 髪を振り乱して仕事をしている色気イマイチの彼女が この作品が大好き(らしい)という演出が、 ミスマッチでおかしかったです。
マネキン Mannequin 1987年アメリカ マイケル・ゴッドリーブ監督 古代エジプトから、結婚を嫌がって 現代にタイプトリップした姫(キム・キャトラル)の魂が、 アーチスト気質が災いしてマネキン工場の仕事を首になった ジョナサン(アンドリュー・マッカーシー)が 丹精こめて作ったマネキンに宿って……という筋立ての ファンタジックなコメディー。 ジョナサンは、あるデパートオーナーを助けたことがきっかけで、 そのデパートのディスプレイの仕事を得ますが、 かつてはハリウッドの大女優もお得意さんだったという 店のオーナーが、「若いから知らないわね」と言いつつ 往年の女優の名前を挙げると、 不眠症で深夜映画をたっぷり見ていたジョナサンは、 次々と代表作を挙げていく…というシーンが 妙に印象に残りました。
ぼくの国、パパの国 East is east 1999年イギリス ダミアン・オドネル監督 キプリングの詩※からとられたという原題のとおり、 ちょっと皮肉な味わいのある、コミカルな家族ドラマ。 70年代のイギリスの小都市で、 イギリス女性と結婚したパキスタン人の男が、 子供たちをイスラム教徒にしようと教育(というか強制)するものの、 無理やりあてがわれた結婚相手を嫌がる長男が家出したり、 次三男の見合いもめちゃくちゃくにされたりと、もう大変。 この一家が、親戚が経営する映画館に映画を見にいくと、 上映中のインド映画をいきなり休止させ、 パキスタン映画に差し替えさせる…なんてシーンが登場しました。 インドとパキスタンの仲の悪さも随所に表現されていましたが、 ヨーロッパ人からしたら「どっちも変わんねーじゃん」に 見えるんだろうな…と思わせる演出がちょっと痛いかも。 ここ最近もてはやされているイギリス映画とは一味う、 ある国の中のもう1つの国、 という描写に興味深いものがあります。 キプリング「東西のバラード」 ※East is East, and West is West, and never the twain shall meet
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