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1963年11月27日、俳優ウラジミール・マシコフが生まれました。 一部でロシアのバンデラスの異名をとる情熱的な美貌は、 ひょっとして、スペイン人だという母親譲りでしょうか…って感じの 濃い二枚目さんです。
パパってなに? Vor(The Thief) 1996年ロシア/フランス パーヴェル・チュフライ監督
戦争で夫を失った若く美しいカーチャは、 戦後まもなく、親戚宅に行く途中の道端で 男の子サーニャを出産します。 父親の顔を全く知らずに育ったサーニャでしたが、 時々、父親の幻影を見ることがありました。
サーニャが6歳のとき、カーチャは、 たまたま列車で乗り合わせた軍人トーリャと恋に落ち、 一緒に降り立った町で3人一緒に暮らし始めました。 お金もなく、身元もしっかりしているとは言えない状況でしたが、 トーリャが軍人だったことと、人当たりが非常によかったことで 部屋はすんなり借りられました。 世間的には「親子3人」にしか見えない一家ですが、 カーチャに「トーリャをパパと呼びなさい」と言われても、 時々見る幻影のせいで、サーニャはそれに従えません。
それでも、腕っぷしが強く、いじめっ子から守ってくれたり、 気前のいいところもあったりするトーリャに サーニャは徐々に懐いていきます。 が、カーチャがトーリャの後ろ暗い「職業」に気づくのに、 そう時間はかかりませんでした。 サーニャのために、トーリャとの別れを考えるカーチャでしたが、 惚れた弱みというか、なかなかうまくいきません。 さらに、亡き父の幻影が徐々に薄れ、 サーニャがトーリャを「パパ」と呼ぶ気になった頃、 一家を引き裂く出来事が起こり……。
軍服のびしっと決まったトーリャを、ウラジミール・マシコフが、 どこかコミカルな味つけで豪快に演じています。 それだけに、サーニャがトーリャを パパとして見られるようになるくだりは涙を誘いますが、 「そうは問屋がおろさない」的ドンデン返しが、 この映画の持ち味でしょうか。 コメディー映画としての要素もたっぷり持たされつつ、 生きていくのってしんどいなぁという空気を うまく表現した作品でした。 サーニャのおどおどした、いたいけな眼差しと、 たくましそうに見えて、結局男に翻弄されてしまう、 そんな母カーチャの哀しさが印象に残りました。
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