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1974年11月13日、 イタリアの映画監督ヴィットリオ・デ・シーカが亡くなりました。 (享年72歳)
自転車泥棒 Ladri di biciclette (The Bicycle Thief) 1948年イタリア ヴイットリオ・デ・シーカ監督
貧乏くさい映画ですが、それでいいのです。 求めて貧乏くさくしているのですから…
↑この映画を身も蓋もなく表現すると、 こんな感じではないでしょうか。
プロの俳優ではなく、 演技経験のない「その辺の人」を俳優として起用し、 いわゆる「レアリズモ」を追求した作品でした。
敗戦後の貧しいイタリアで、 やっとポスター貼りの仕事にありついたアントニオは、 仕事のために自転車が急遽必要になったので、 シーツを質に入れて、何とか用意します。 (このシーツ、私の記憶が確かなら、新品でなくてベッドから剥いたものだったような…よく質草になるもんです) 仕事には、6歳の息子ブルーノも一緒に連れていましたが、 その子供がちょっと目を離したすきに、 自転車を盗まれてしまいました。
警察は、そんなチンケな盗難はマジメに取り合ってくれないし、 1日じゅう探すために歩き回ってお腹はすくし、 自転車がなければ、翌日からずっとお腹を空かすことになるし、 本当に汲々とした状態に陥りました。
やっとやっと捜し当てたと思ったら、 その犯人が住む界隈の人間が町ぐるみで邪魔し、 取り戻せません。
そして、困惑も究極に達したアントニオは……
日本人である私には、 イタリア語の台詞回しの細かいニュアンスはわからず、 したがって、素人の起用でリアルさを出そうという意図は、 正直言ってよくわかりませんでした。 ……と思う程度に、皆さんなかなかの演技を 見せてくれたと思うのです。
ブルーノが、父親に連れられて入った食堂で、 金持ちの娘らしい子が食事しているのを 物欲しげに見つめるシーンが印象に残りました。 彼女と同じようなものを食べたいけれど、 「あれだけ食べるには、いっぱい稼がないと」 と言われてしまって……。 「マンジャーレ、カンターレ、アモーレ!」の国で、 お腹を空かさなきゃならないなんてねぇ。 腹が減っては、歌も恋もままならんではないですか。 子供がひもじそうにしている姿を見るのは、 本当にいたたまれないものです。
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