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2002年11月03日(日) 映画よろず屋週報Vol.30「泣けてくる…」

特集「泣けてくる…」

11月3日の花カモミール(カミツレ)、
花言葉は「あなたを癒す」です。

癒すという言葉は、近年本当によく使われますが、
癒し手法の中に、「カタルシス泣き」とでも名づけたいような、
「ああ、泣いてすっきりした」というのもありますよね。

そこで、個人的な感想が基準にはなっていますが、
あの映画を思い出すと、なぜだか体に嗚咽のような震えが来て、
弱っているときは涙すら出てきてしまう…
そんな作品を御紹介したいと思います。
(例によってできるだけマイナーそうなところから御紹介しますが、
ソフトが見つかったらぜひともごらんになってくださいませ)

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私は人魚の歌を聞いた
I've Heard the Mermaids Singing

1987年カナダ パトリシア・ロゼマ監督

内気でおどおどしているポリー
シェイラ・マッカーシー)は、
パートタイムの秘書の仕事を得、
雇用主のかっこいい女性ガブリエルに
同性愛の感情を抱きますが、
ガブリエルには恋人(こちらも女性)がいて、
しかも、陰では
自分の悪口を言っていることを知って傷つきます。
美しい映像にだまされますが、相当にアブナイ主人公……
とはいえ、そのポリーの心象風景や、
ラストシーンでのふっきれたような独白は、
心が弱っているときに思い出すと、なぜだか涙を誘います。

バス停留所 Bus Stop
1956年アメリカ ジョシュア・ローガン監督

マリリン・モンローが、
フランス語で“かわいい奴”を意味する
シェリーという名の場末のショーガールを好演しました。
彼女に一目ぼれし、でも何度訂正しても“チェリー”と呼ぶ
朴訥なカウボーイの青年(ドン・マレー)の
強引さにほだされ、
(というよりは、“拿捕(だほ)”された感じ)
次第に彼に惹かれてゆきます。
乱暴に言えば、本宮ひろ志あたりが描いても不思議はない、
男に都合のいい話ではあるのですが、
「モンローが遂に女優になった!」とまで評された演技に、
ローガン監督も撮影中に泣いたそうです。
(と、コミック『栄光なき天才たち』で読みましたが、
何となく信じられるエピソードです)

犬と女と刑(シン)老人 老人与狗
An Old Man and His Dog(香港公開時の英語タイトル)
1993年中国 謝晋(シェ・チン)監督

文化大革命下の中国の農村を舞台にした、
犬とひっそりと暮らす老人と、ワケアリ女性の結婚を軸に、
あの「時代」を、ごく普通の人の感覚でとらえた切ない物語。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
Knockin' on Heaven's Door

1997年ドイツ トーマス・ヤーン監督

「天国では、みんな海の話をするんだぜ」
というフレーズのためにつくられたような映画。
病気で余命幾許もない2人の男が、天国に行ったときに
ほかの人たちとの話題についていけるように、海を見にいくお話。
「この映画を見て泣くのは、つくり手に失礼かも」と思いつつ、
何だかこみ上げてくるところがある……そんな、実に卑怯な作品です。
(最近、映画を褒める言葉として、
しょっちゅう“卑怯”を使ってしまいますが、ちょっと反省)


ユリノキマリ |MAILHomePage