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2002年10月10日(木) |
シッピング・ニュース |
10月10日は「島の日」です。
シッピング・ニュース The Shipping News 2001年アメリカ ラッセ・ハルストレム監督
近所のツタヤで「一応」1週間扱いになったのを機に (といっても、まだ準新作扱いくらいなのか、100円加算でしたが←細かい) やっと手にとってみたのですが、いやあ、ツボにはまりました。 E.アニー・プルーの原作『港湾ニュース』を読んで、 これの完全映画化では、 さぞや見る人を選ぶ作品になるだろうと思いましたが、 やり過ぎていたら目を覆いたくなる映像であろうところを、 適度にソフトにしてあり、 かといって興ざめするようなものではなく、 とにかく、私は非常に気に入りました。
父親からの虐待がトラウマになり、おどおどと成長した クォイル(ケビン・スペイシー)は、 新聞社のインク係として働いていたある日、 ペタル(ケイト・ブランシェット)という名の、 見るからにbitchな感じの女に逆ナンパされ、 彼女と結婚し、1女バニー(ゲイナー3姉妹)をもうけます。 (ちなみに原作では子供がもう1人いて、 姉妹の描き分けもおもしろかったです) ペタルは結婚してからも男漁りをやめませんが、 クォイルには、彼女をたしなめようという発想すらありません。 女性とまともにつき合ったことのないクォイルには、 ペタルこそたった一人の大事な女性でした。
が、ペタルが駆け落ち資金調達のために、 バニーを養子縁組機関に売り(後に保護)、 ペタルは相手の男とともに事故死… それとほぼ時を同じくして、 クォイルの父親が亡くなったという知らせが入りました。 彼の父には、アグニス・ハム(ジュディ・デンチ)という妹、 つまりクォイルの叔母がいて、 いろいろあってへこみ切っているクォイルを、 一族のルーツがあるというカナダの北東、 ニューファンドランド島に一緒に帰ろうと誘います。 廃屋になっていたぼろ家の修繕を、 気のいい若い大工(ジェーソン・ベーア)に頼み、 アグニス・ハムは、もともとの本職である船舶内装、 クォイルは地元の新聞社に「記者」として雇われ、 バニーも託児所に預けられ、 がたがたながらも生活していくようになります。
新聞社には、 タート・カード(ピート・ポスルスウェイト)という 陰険で尊大なおっさんもいましたが、 自分を「ジャックと呼べ」と命令する 編集長(スコット・グレン)や、 船の修理が終わったら旅に出るのだという ナットビーン(リス・エバンス)など、 つき合いやすい気のいい連中が多く、 クォイルは、生まれてこの方経験がなかった 「気の置けない仲間とのつき合い」 というやつを楽しむようになります。
また、やれ何をやらせても下手だ、 トロいとばかにされていたのが嘘のように、 港に停泊する船主におもしろい話を聞いてまとめたコラムも 大好評を博すのですが、 その中で、自分たちの先祖の秘密も知ってしまうのでした…。
何でもこの話は癒しの物語なんだそうですが、 個人的には、癒されるべき心の傷の形や深さは、 皆一様なわけはないと思うので、 この手のうたい文句は、 絶対に無視していただきたい気がします。 といいつつ、ツボにはまるともうダメです。 嗚咽にふるえることになるでしょう。 北極圏(と言って差し支えなければ)の刺すような 冬の過酷さも加わって、自然の風景を美しく切り取った画は 非常に惹かれるものですし、 豪華キャストも魅力の1つです。 私は、この映画で見て、初めてジュリアン・ムーアを 素直に「すてきな人」だと思いました。
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