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2002年10月08日(火) マイ・フェア・レディ

昨晩、テレビを見ていましたら、
番組改編期であるちょうど今ごろの名物の1つ、
「芸能界の厳しさ教えますスペシャル」をやっていました。
この下世話さと、クイズ、ゲームの構成が結構好きなので、
いつも見てしまいますが、
特に、いつもいろいろな意味で気になるのが
「抱かれてみたいレース」です。

御存じない方にかいつまんで説明させていただくと、
番組ゲストの芸能人・有名人が、
傾向の似た芸能人5人を相手に、
街頭で20人に聞いた「抱かれたい(抱きたい)」のはどっち?」
という問いに対する回答結果を争うという対決ものです。
それぞれにオッズがあり、
当然、勝ち目のありそうな人を相手にした場合ほど
倍率は低くなり、
その分、「最低得票数」に達しなかった場合は
ドボンになってしまうなど、なかなかにシビア。
が、勝ち目がない=倍率高い上に、意外と健闘を見せ、
最低得票数も楽々取ってしまうという場合もあるので、
その辺の見極めが、勝負の分かれ目になります。
(こういう下世話なところがおもしろいゲームの解説って、
なかなか気恥ずかしいものがありますねぇ)

で、昨日対決に挑んだ1人に、カミュを大おじに持つという
もはや外国人タレントの定番セイン・カミュがいました。
対決相手というのが、
「ベッカム/シュワルツェネッガー/トルシエ/
チューヤン/デーブ・スペクター」という、
非日本人という以外は全く一貫性のないものでした。
(あ、デーブってひょっとして日本人?)
そこでセインさんは、最低得票数の低さに目をつけ、
また「せっかくならどーんと」ということで、
オッズ最高のベッカムを指名し、
一敗地にまみれる玉砕を果たしました。(何と1対19!)
でも、この対決のテーマが
「英語を教えてほしい外国人男性杯」だということを考えると、
ヒギンズ教授に注意される英語しゃべってそうな英国人は、
私としては、ちょっと嫌ですけれどね。


そこでいささか強引に、本日の映画は……

マイ・フェア・レディ My Fair Lady
1964年アメリカ ジョージ・キューカー監督


G.B.ショーの『ピグマリオン』に材をとった、
男性が女性を当たり前のように「バカな添え物」として扱っても、
それほど糾弾されなかった(かもしれない)時代の、
豪華絢爛、楽しい女性蔑視ミュージカルコメディーの傑作です。
舞台版でジュリー・アンドリュースで演じた役を、
歌を吹き替えてまでオードリー・ヘップバーン
やらせたということ自体、
この映画の性質をあらわにしている気がしますが、
それはそれで楽しめました。
私の知人で、
「歌のシーンがなかったら、
もっとコンパクトでおもしろかったのに」

という名言を吐いた人がいますが、
ヘップバーン自身は非常にコメディーセンスのある人なので、
ノリのよさで楽しませてくれます。
でも、やっぱり、
映画音楽史に残る名曲の数々も楽しみたいところです。

ある日、言語学者ヒギンズ教授(レックス・ハリスン)は、
ロンドンの下町で、汚いなりをして、
耳障りなコックニー訛りでがーがーまくしたてる
花売り娘イライザ(A.ヘップバーン)を見かけます。
ヒギンズは、イライザを自分の屋敷に招き、
自分の専門分野である発声や言葉遣いはもちろんのこと、
上品なレディとしての身のこなしや装いに至るまで指南し、
どこに出しても恥ずかしくない女性をつくり上げようとします。

ヒギンズ氏の母親が作中言うように、
「まるで生きた着せかえ人形」のように
扱われるイライザですが、人間、いろいろと身につければ、
自分の頭で考えるということも覚えます。
イライザは、単なるヒギンズ氏のおもちゃではありません。
彼女が反旗を翻すようにヒギンズ氏のもとを去ってしまったとき、
彼の意識にも、ある変化があったのでした……。

ヒギンズの「余計なお世話」の数々にうんざりすると、
その時点でこの映画に嫌悪感を抱いてしまう可能性もありますが、
女子に生まれついた者としては、
こういうヒギンズみたいなおっさんとか、
ゲーテの小説に出てくるうっとうしいインテリ青年とか、
ショーペンハウエルとかみたいな、
女性蔑視を教養人の真理みたいに考えてそうな男子の言い分を、
「はいはい、わかりましたよ(フンッ←鼻でわらう音)と、
聞いているふりで右から左に流し、
素材よりも、調理の妙を楽しみたいと思います。
女性を男性並みに使える奴に教育しようという勘違いは
この際置いておいて、
映画としては、かなり楽しめる1本でした。

結構有名な話のようですが、
この“マイ・フェア・レディ”というタイトルのMy Fairとは、
ロンドンの高級住宅街Mayfair(メイフェア)
コックニー訛りで発音すると、こういうふうになりますよ、という
ダブルミーニングでもあったのですね。
(2003.6.20補筆)


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