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2002年10月12日(土) 太陽は、ぼくの瞳

太陽は、ぼくの瞳 The Color of Paradise
1999年イラン マジッド・マジディ監督


アッバス・キアロスタミと並び、
最近のイラン映画の定番となりそうな
マジッド・マジディ(『運動靴と赤い金魚』)脚本・監督作品です。

主人公のモハメド少年は、全寮制の盲学校に通っています。
夏の休暇には父親が迎えにきてくれましたが、
実は父(やもめさん)は、
再婚する時ネックになりそうなモハメドを、
少し疎ましく思っていました。

そんな父の冷たさにもめげず、久々に帰った家では、
優しいおばあちゃんや、かわいい妹たちが待っていました。
自分なりに家の手伝いをしたり、草原を散歩したりして、
見えない目以外の感覚を以て、世界の美しさを堪能します。
妹たちの通う学校の授業にも、
飛び入りで出させてもらいました。

が、ある日父は、モハメドを全盲の大工のところに
“自立”目的で弟子入りさせます。
親方は優しくしてくれますが、
まだ8歳のモハメドには心細いものでした。
けれども、あるきっかけで迎えにきた父親と家に帰る途中、
彼の運命を大きく変える出来事が……

いつもいつも思うことですが、イスラム圏の子供って、
男の子も女の子も、みんな目の覚めるような美しさです。
イランのお国柄で、子供を主役に据えた映画が多いのは、
決してお固い宗教的配慮ばかりではなく、
映画人たちが、この美しい子供たちを撮りたい!と
思ってしまうからでは……などと考えてしまいました。

それから、盲学校の授業風景にも興味深いものがあります。
速記並み(検定でいえば2〜3級クラスかな)のスピードで、
教師が読み上げる文章を、
ディクテーションの要領で点字で打っているんですぞ!

正直、どうしてこの結論に達したのか、
ちょっとわかりかねるラストではありましたが、
見た後いつまでも、「一体、何でだったのかなあ」と
引きずるのも悪くないものです。


ユリノキマリ |MAILHomePage