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今日10月3日は、 語呂合わせで登(10)山(3)の日だそうです。
ところで、山登りの映画は当たらない…と、 ある映画館の支配人さんがぼやいているのを 聞いたことがあります。 「登山の趣味のある人は、わざわざそんな映画を見ない」 という、判ったような判らないような理由が考えられるとか。 確かに、山岳を舞台にした映画でポピュラーなのは、 冒険色がやたら強かったり、パニックものだったりですね。 ちなみに、その支配人が例として挙げていたのは、 K2/ハロルドとテイラー(91年日・英・米合作)でした。 監督は、『さらば青春の光』のフランク・ロッダム、 主演マイケル・ビーンなど、なかなかの顔ぶれだったのに…
山の郵便配達 那山 那人 那狗 (英語タイトルはPostmen in the Mountains) 1999年中国 フォ・ジェンチィ監督
地味ながら、原作と併せ、そこそこ話題になった1本です。
満足な交通手段がない中国は湖南省の山間部で、 40年の長きにわたって 郵便配達の仕事をしてきた初老の男性が、 加齢による体力の減退を郵便局長に心配され、 息子(現代的でそこそこ打算的な、フツーのあんちゃん)に 仕事を引き継ぐことになります。
重い荷物(郵便物)を携えて、急峻な山を行くわけですから、 自分の足だけが頼りの、実に過酷な「旅」です。 息子の初仕事には、道案内を兼ねて父親が付き添いますが、 郵便配達人が来ると、 各集落の素朴な善男善女が大歓待!という、 それこそ「映画で見たような」シーンを 軽薄にも思い浮かべていた息子は、 余りにも地道で淡々とした仕事ぶりに拍子抜け。 また、もともと余り交流のなかった父親と軽く衝突もします。
「どっかで見たようなシーンだなぁ」 というエピソードも多いのですが、 映画のトーンには合っていて、選択は誤っていない感じです。 息子が、遠くから父に嫁いできた母と、 自分がほのかに想う女性のことを重ね合わせて考えたり、 回想と現在のシーンの絡め方も巧みでした。
1度仕事に出ると、 配達と往復で何日も帰ってこなかった父に、 幼い頃の息子は親しみを覚えていませんでした。 そんなスキだらけの親子関係の中に、 かえって偽りのない絆のようなものを感じます。 そうそう、 2人(じき息子1人になるけれど)の仕事をサポートする 名犬“次男坊”の演技にも御注目を!
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