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1991年9月3日、 ロマンティック・コメディなどでおなじみの名匠、 映画監督のフランク・キャプラが亡くなりました(享年94歳)。 そこで、氏の実質的な遺作となった作品をどうぞ。
ポケット一杯の幸福 Pocketful of Miracles 1961年アメリカ フランク・キャプラ監督 1933年に自身が撮った人情喜劇 『一日だけの淑女 Lady for a Day』の かなり忠実なセルフ・リメイクのようです。 (私はオリジナルの方をまだ見ていないので、 きっぱりは言えませんが)
このプロットがよほど気に入っていたのか、 例えば市川崑監督が『ビルマの竪琴』でそうしたように、 カラーで撮り直してみたかったのか、 なぜリメイクしたのかはわかりませんが、 どちらを先に見たとしても、 もう1本の方を見てみようというつくりではあると思います。 少なくとも私は、 オリジナルの方も見たいという気だけはあります。
暗黒街の顔役デュード(グレン・フォード)には、 こだわりのラッキーアイテムがありました。 “アップル・アニー”と呼ばれる アニー婆さん(ベティ・デイビス)から 毎日買っているリンゴです。
そのアニーには、離れて暮らしている自慢の娘がいました。 ルーシーという名のその娘(アン=マーグレット)は、 ヨーロッパの尼僧院で育ち、美しいレディに成長しましたが、 良縁に恵まれて、フィアンセとその父親を同伴して 母親に会いに戻りたいと手紙をよこしました。 こりゃえらいこっちゃ、です。
離れて暮らしているのをいいことに、アニーは自分のことを さも上流夫人であるかのように話して聞かせていたのでした。 実際には、粗末な家でボロをまとう、 正直お上品とは言えないばあさまです。 でも、ルーシーには会いたいし、 さて、どうしましょうとなったとき、 デュードが義侠心を出し、 アニーに助けの手を差し伸べます。 さてさて、うまくいくでしょうか?
実は私、子供の頃、この手の話が大嫌いでした。 いつバレるかと、むだにドキドキさせられるし、 そういう形で見栄を張る気持ちが、 いまいち理解できなかったからです。 (今でも理解はできませんが) 少し年をくって、 こういうモチーフも1つの様式美か何かみたいに 割り切って見られるようになったので、 この映画は、大いに楽しみました。 アン=マーグレットの初々しい美しさはまばゆいほどだし、 迫力美人のベティ・デイビスが、 品のない貧しい物売りのおばばを演じる必然性にも きちんと納得できたし、 映画として非常に魅力を感じたからです。
参考までに、1989年の香港映画『奇跡/ミラクル』もまた、 『一日だけの淑女』の流れを酌む映画だそうです。 (主演・監督はジャッキー・チェン) 私はこれも未見ですが、 どうやらこちらのラッキーアイテムはバラのようです。 見たい気もしますが、 今さらビデオを探すのもパッとしないので、 できたら深夜映画でやってくれないかと、 密かに期待しております。 もちろん、ジャッキー兄貴を 石丸博也さんが吹き替えたバージョンで!
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