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2002年09月03日(火) ポケット一杯の幸福

1991年9月3日、
ロマンティック・コメディなどでおなじみの名匠、
映画監督のフランク・キャプラが亡くなりました(享年94歳)。
そこで、氏の実質的な遺作となった作品をどうぞ。

ポケット一杯の幸福 Pocketful of Miracles
1961年アメリカ フランク・キャプラ監督

1933年に自身が撮った人情喜劇
『一日だけの淑女 Lady for a Day』
かなり忠実なセルフ・リメイクのようです。
(私はオリジナルの方をまだ見ていないので、
きっぱりは言えませんが)

このプロットがよほど気に入っていたのか、
例えば市川崑監督が『ビルマの竪琴』でそうしたように、
カラーで撮り直してみたかったのか、
なぜリメイクしたのかはわかりませんが、
どちらを先に見たとしても、
もう1本の方を見てみようというつくりではあると思います。
少なくとも私は、
オリジナルの方も見たいという気だけはあります。

暗黒街の顔役デュード(グレン・フォード)には、
こだわりのラッキーアイテムがありました。
“アップル・アニー”と呼ばれる
アニー婆さん(ベティ・デイビス)から
毎日買っているリンゴです。

そのアニーには、離れて暮らしている自慢の娘がいました。
ルーシーという名のその娘(アン=マーグレット)は、
ヨーロッパの尼僧院で育ち、美しいレディに成長しましたが、
良縁に恵まれて、フィアンセとその父親を同伴して
母親に会いに戻りたいと手紙をよこしました。
こりゃえらいこっちゃ、です。

離れて暮らしているのをいいことに、アニーは自分のことを
さも上流夫人であるかのように話して聞かせていたのでした。
実際には、粗末な家でボロをまとう、
正直お上品とは言えないばあさまです。
でも、ルーシーには会いたいし、
さて、どうしましょうとなったとき、
デュードが義侠心を出し、
アニーに助けの手を差し伸べます。
さてさて、うまくいくでしょうか?

実は私、子供の頃、この手の話が大嫌いでした。
いつバレるかと、むだにドキドキさせられるし、
そういう形で見栄を張る気持ちが、
いまいち理解できなかったからです。
(今でも理解はできませんが)
少し年をくって、
こういうモチーフも1つの様式美か何かみたいに
割り切って見られるようになったので、
この映画は、大いに楽しみました。
アン=マーグレットの初々しい美しさはまばゆいほどだし、
迫力美人のベティ・デイビスが、
品のない貧しい物売りのおばばを演じる必然性にも
きちんと納得できたし、
映画として非常に魅力を感じたからです。

参考までに、1989年の香港映画『奇跡/ミラクル』もまた、
『一日だけの淑女』の流れを酌む映画だそうです。
(主演・監督はジャッキー・チェン)
私はこれも未見ですが、
どうやらこちらのラッキーアイテムはバラのようです。
見たい気もしますが、
今さらビデオを探すのもパッとしないので、
できたら深夜映画でやってくれないかと、
密かに期待しております。
もちろん、ジャッキー兄貴を
石丸博也さんが吹き替えたバージョンで!


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