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2002年07月29日(月) ファミリービジネス

毎月29日は「肉の日」だそうです。う〜ん、ストレート。
この手の「○○の日」にめぐりあうたび思うのですが、
多分、販促等の目的で設けられた日なんだと思いますが、
ならば、まずはその「日」自体を周知させた方がいいのではないかと。

それはともかく、こんな映画がありました。

ファミリービジネス Family Business
1989年アメリカ シドニー・ルメット監督


この映画で描かれたファミリーは、ちょっと風変わりです。
男三代、それぞれの持ち味が違うというのみならず、
人種的にもそれぞれ特徴がありました。

幾つになってもフラフラしている
アイルランド系のジェシー(ショーン・コネリー)は、
イタリア系の女性と結婚し、息子ヴィトー(ダスティン・ホフマン)をもうけ、
ヴィトーは、しっかり者のユダヤ人女性と結婚し、
精肉業をあくまでカタく営んで成功し、
頭脳優秀な息子アダム(マシュー・ブロデリック)も授かりました。

映画は、アダムが過越の祭り(ユダヤ人解放記念の祭礼)の儀式で
ヘブライ語のお祈りを見事にやってのけるアダムに、
家族じゅうで感心するというシーンから始まりました。
これが、理知的な雰囲気のブロデリックにぴったりです。
舞台はニューヨークですが、
アダムはボストンのマサチューセッツ工科大に通っていて、
祭礼のために帰省していました。

ヴィトーはアダムを心から誇りに思い、
アダムもヴィトーに子供として敬愛の念を示さないではないのですが、
アダムの憧れは、実はジェシーの方でした。
ヴィトーが忌み嫌ったジェシーのえーかげんな生き方が、
若いアダムの目には、粋に映ってしまったようです。
ジェシーも、息子ヴィトーとの折り合いの悪さは別として、
アダムの方は、大いにかわいがります。

そんな中、アダムが何を勘違いしたか、
大学のバイオ関係の研究をネタにした儲け話を
ジェシーに持ちかけますが、それは明らかに犯罪行為でした。
それにジェシーが乗っかるのはいい(?)としても、
ヴィトーまでが、愛するアダムを守るために加担することになり……。

はっきり言って、一番最初に見たときは、
それほどおもしろいと思えませんでした。
ところが、後々までとにかく「引っぱってしまう」映画でして。

何となく、民族性のようなものの描き方がステロタイプな気もするし、
見る者すべてが「期待しない方」に
ずんずんと突き進んでいるように見えるストーリー運びもナンだし、
これだけのメンツにS.ルメット監督で、
どうしてこうなっちゃったの?と思わせるには十分な作品なのですが、
本当に後になってから、随所随所を唐突に思い出し、
そう悪くなかったよなあという気になりました。
例えば、何かとトラブルを起こし、刑務所の常連さんであるジェシーが、
アダムが悪ぶってつき合っている年上のガールフレンド(不動産業)の
あくどい商売に腹を立てるシーンが傑作でした。
どうやら、犯罪にも美学を忘れてはいけないようです。

多分、サスペンスの秀作だと期待をしてしまうと×で、
ちょっと変則の家族の絆系だと思うと、こういうのもアリではと思える、
そんなところではないでしょうか。

さて、「そう悪くなかった」と思い返している私ではありますが、
実は、12年前に見たっきり、“再度確認”はしておりません。
実際に見たら、「ああ、やっぱ退屈だったな」というオチがつく可能性も
全く否定できませんけど、
未見の方、ばくちのようなつもりでいっちょ見てみませんか?


ユリノキマリ |MAILHomePage