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シー・デビル She-Devil 1989年アメリカ スーザン・シーデルマン監督 わざわざレンタル店で借りてくるよりは、 偶然深夜TVで放映されたものを見たら、意外とおもしろかった、 そんな感じの出会い方をしたい映画です。 (私はわざわざビデオを借りましたが)
リッチでハンサムな会計士ボブの妻は、 肥って冴えない、しかも家事能力もゼロのルース(ロズアン・バー)です。 ……まあ、こんな妻なら浮気されてもしゃーないと思っていると、 ボブは、美人で売れっ子の ロマンス小説家メアリー(メリル・ストリープ)と当然のように浮気をしま す。 パーティの席で粗相をしてしまったルースの後始末で、 ボブがワインの染み抜きについての知識を披瀝し、 「あら、よく御存じですのね」とか何とか近づいてきたのが メアリーでした。
メアリーとの浮気が発覚しても、「女としての自覚ゼロ」だの 「このシーデビルめ!(メスの悪魔)」だのと、 きつい言葉で責めたてる夫に、ルースは復讐を誓うのでした。 (あ、もちろん愛人に対しても)
夫のののしりはあんまりだと思いつつ、 愛される努力もせずに、のうのうと暮らしているルースに 反感を覚える人もいるかもしれません。 けれど、嬉しくなっちゃうことに、メリル演じるメアリーが、 一見美しくエレガントな女性ですが、とんだ食わせ者だったりします。 最初はルースにいらいらついたり、腹を立てたりしても、 しまいには、彼女の逆襲の数々に拍手を送りたくなります。
笑える復讐劇であると同時に、 女性の社会的自立もさらっと扱っていました。 外に働きに出たルースは、 勤務先で知り合った フーパー(リンダ・ハント)という女性とともに、 会社を興すまでにたくましくなります。 ことさらそこを強調した表現はしていなかったものの、 御存じのとおり、リンダ・ハントはあのルックスですし、 (美人とはいえないし、染色体の異常による短身で) 中年で、いいように安く使われ、踏みつけにされている女性でした。 最初はおどおどしていたフーパーも、 アグレッシブなルースに引っぱられるように強くなっていきます。 そして、同じような境遇の女性と手を結ぶのですが……。
男性には、いささか不愉快な作品かもしれませんが、 一緒に見た相方は、結構素直におもしろがっていました。 (といっても、10年以上前なので、多分忘れているでしょうが) 身につまされて、思いっきり感情移入するのも悪くないけれど、 ただ単におもしろがるというのは、映画ならではだと思います。
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