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2002年05月10日(金) 願い、空を舞う

今日5月10日から愛鳥週間です(16日まで)。
そこで、私もたまたまNHK教育の放映を見ることができただけなので、
ビデオやDVDのリリース状況はわからないのですが、
なかなか味のある作品だったこちらを。

願い、空を舞う Tosepiger(Watch Me Fly)
1996年デンマーク  監督 ビベケ・ガズ

(※原語タイトルは、2文字目のoの上にウムラウトが入るのが本当)

デンマークの小さな田舎町での、
境遇の全く異なる2人の少女の生活スケッチと、
2人をつなぐレース鳩の飼育と競技に挑戦するまでを描いた、
決して道徳的なばかりではなく、
さらりとシビアな大人の現実も見せてくれた、
そんな「ファミリー向けドラマ」でした。

父親が失業中で貧しいけれど、幸せに育っているマイと、
裕福ではあるけれど、それは親がしゃかりきに働いているためで、
温かな家庭の雰囲気には飢えているクリスは、
どうしたものが仲がよく、時には言い争いやすれ違いがあっても、
かけがえのない友達同士です。

デンマークなどの北欧の国々は、高福祉高負担だとよく聞きます。
2人がたまたまちょっとしたことですれ違うことになったとき、
クリスがマイに向かって、
「あんたのパパが失業している分を、うちの両親が働いて稼いでいる」
などと、言わなくていいことを言ってしまうくだりには、
ためらいながらも笑ってしまいました。

デンマークといえば、日本人にとっては、
アンデルセンの生国とか、酪農の国とか、そういったイメージですが、
一国資本で撮っている映画が少ないせいか、
映画的には「おなじみの国」と言い難いところがあります。
こうしたごく普通の、
あの国のどこかにありそうな生活ぶりを見られる作品というのは、
貴重だと思いますし、また微笑ましい好編でした。

2人がけがをした鳩の治療費を稼ぐために、
都会に行ってストリートミュージシャンをやってみたり、
(ドイツ映画『点子ちゃんとアントン』にも、似たシーンが登場しましたね)
バッジを手づくりして、それを売ったりするシーンが好きです。
殊に、「その方が売れる」という理由で、
バッジは「エコロジー活動のため」売っていると言ったり、
目の不自由なおじさんが買おうとしたとき、
さりげなく最も大きくてできのいいものを選んだりする、
そういう細かいところが、なかなかいいんですよ〜。

地味ではありますが、
マイナスの意味で「地味」と使っているつもりのない私としては、
「機会があったらごらんくださいませ」とだけ申し添えたいと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage