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5月9日、語呂合わせ「May(5月)ク(9)の日」ということで、 1998年、第71回アカデミー賞において、 メイクアップ賞で受賞したこちらをどうぞ。
エリザベス Elizabeth 1998年イギリス=インド シェカール・カプール監督
まず初めに、この年の作品賞ノミニーは、 きれいに2つの分野に分かれていました。 『プライベート・ライアン』『シン・レッド・ライン』 『ライフ・イズ・ビューティフル』の、いわば「第二次世界大戦系」、 そして、『恋におちたシェイクスピア』『エリザベス』の、 「エリザベス朝系」です。
結果は『恋に…』の圧勝でしたが、 メイクアップ部門においては、『エリザベス』が競り勝ちました。 主演のケイト・ブランシェットが、自分の顔を鏡で見て吐き気がした…と 後に漏らしたとか漏らさないとか言われている、 あの「眉無し白塗りメイク」は、確かに強烈でした。 けれども、もちろんこの作品は、それだけが売りの際物ではありません。 あのメイクには、「英国と結婚し、男妾が1人」と放言した、 エリザベス一世の意志の強さがあらわれているようでした。
新旧の宗教対立もあらわな、16世紀のイングランドが舞台です。 エリザベスは、ヘンリー八世と愛人の間に生まれました。 宗教的見方による私生児への偏見も根強い中にあって、 いつも生命の危機に怯えながら、 幼なじみダドリーとの恋に夢中な、政治とは無縁に見えた娘は、 21歳で、ある叛乱に加担している疑いで反逆罪に問われますが、 腹違いの姉メアリーの死後、 25歳で即位し、政敵を次々と「粛清」の名のもとに殺っちゃいます。
駆け足で紹介すると、こういう、 四半世紀だけでも波瀾の人生を語れる人でした。
豪華絢爛な衣装、名優たちの納得の熱演はともかくとして、 大ロマン歴史絵巻というよりは、 歴史に翻弄された1人の強く悲しい女性の物語でした。 そこんところを細い体で力いっぱい演じたケイト・ブランシェットは、 正直、この年『恋に…』で主演女優賞を受賞したグィネス・パルトロウを 女優としてはるかに上回っていたと思います。
セクハラ的ではありますが、「女を捨てている」という表現があります。 歴史の表舞台に立った女性は、 大抵これで説明できそうな乗りがありますが、 この映画を見ていたら、そうしたすべての女性の生きざまを 覗いてみたい気分になりました。 (本当は歴史コスプレものは、それほど得意ではないのですが…)
もしもどちらも未見という方がいらしたら、 これをごらんになった後、『恋に…』もごらんになると、 より楽しめるかと思います。 (ついでに言えば、さらにその後、 トレバー・ナン監督の『十二夜』を見ることもお忘れなく)
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