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2002年03月21日(木) ウェルカム・トゥ・サラエボ

(ただいま、アカデミー賞週間です)
本日は、外国語映画賞の候補に目を向けてみました。

お節介解説をさせていただきますと、「外国語」映画賞とは、
英語以外の言葉が主に使われている映画を指します。
逆にいえば、どこの国(日本だって)でつくろうが、
英語のセリフが大半を占めた映画なら、
ただ「作品賞」として扱われるということですわね…
(英語が何%を占めればOK…という基準がわからないのですが、
御存じの方、メールくださいませ)

過去この枠の受賞作では、
『ブリキの太鼓』『ニューシネマ・パラダイス』
『ライフ・イズ・ビューティフル』
『オール・アバウト・マイ・マザー』など
日本でのヒット作も出していますね。
ちなみに、1987年度の『ラスト・エンペラー』は、
イタリア人監督が中国を舞台にして撮ったというのに、
みんなして英語でしゃべってくれちゃうので、堂々作品賞受賞でした。
(ちなみに資本はイギリス/イタリア/中国)

ことしは『アメリ』が大本命のようですが、どうなりますか。
ほかの候補作としては、『ノーマンズ・ランド』という作品がありますが、
ボスニアとセルビアの中間地帯を舞台とした作品だそうです。
(フランス、スロベニアなど5カ国合作。使用言語は不明)
ニュースなどの情報で知り得るあの地域の情勢を考えると、
「無人地帯」とは意味深長ですね。


ウェルカム・トゥ・サラエボ
Welcome to Sarajevo

1997年イギリス マイケル・ウィンターボトム監督


皮肉なタイトル(原題)です。
いっそ邦題も、もっともっとわかりやすく、
「サラエボへようこそ」などとしてほしかったほど。
そういえば、旧ユーゴ時代(1985年)に撮られた作品で、
『パパは、出張中!』というのもありますが、
これも「出張」の実態がわからないと、
ほのぼの映画を連想させます。

戦乱のサラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナの首都)で、
興味本位な報道合戦を繰り広げる
ジャーナリスト、レポーターたちの中、
正義漢のイギリス人ジャーナリスト、マイケルは、
孤児院を取材した折に知り合ったエミラという少女と友情を結び、
彼女を何とかその状況から救出しようと試みます……。

実話に基づく物語だそうですが、
監督一流の皮肉なのか、
西側の高見の見物を決め込む人間達の興味をひくような
ショッキングな映像を命懸けで求め、
生き馬の目を抜くような素早さで垂れ流される状況は、
見ていて嘘寒いものがありました。
助け出される少女にしても、
たまたまジャーナリストと通じ合うものがあっただけで、
「あの子だけ助けても本質的状況はよくならんだろうが」
という疑問が残らないでもないのですが、
この映画には不思議と、そんなみっともない?公私混同をも
何だか受け入れてしまえる何かがあるんですよね。

ところで、ビデオやDVDのジャケットには、
「少年」が目を閉じて赤ん坊を抱きしめている
非常に印象に残る写真が使われていますが、
実は、あの「少年」こそがエミラです。
ウィンターボトム監督との相性の悪さを気にしつつ、
私自身がこの映画を見たのは、我が長女があの写真に惹かれて、
「これ見たいなー」と思いつきで言ったのがきっかけでした。
年の離れた自分の妹との姿をダブらせたようです。
彼女自身も最初は「少年」だと思ったそうなのですが、
何がどう転ぶかわからないものです。
どうしてどうして、お勧めの1本となりました。

注)この作品は、アカデミー賞とは特に関係ないのですが、
「〜に因んで」という連想ゲーム的に取り上げました。


ユリノキマリ |MAILHomePage