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第74回(2001年度)米アカデミー賞の授賞式を目前に、 ことしの候補作・候補者にまつわる作品を、 本日から1週間、取り上げていきたいと思います。 (途中で気が変わるかもしれませんが…)
ウィル・スミスがモハメド・アリを演じて主演部門ノミネートですが、 その話題の作品『アリ』で、助演男優賞にノミネートされた、 ジョン・ボイトのこの作品を。
真夜中のカーボーイ Midnight Cowboy 1967年アメリカ ジョン・シュレシンジャー監督
謎の邦題表記ですね。なぜに「カウボーイ」でないのか? この作品自体は、第42回(1969年度)に作品賞を受賞。 ほか、監督賞、脚色賞を受賞しましたが、 主演男優ジョン・ボイトは、ノミネートにとどまりました。
最近、カラーコピー機のCMで、 サッカーの中田英寿選手の顔をコピーしたものを顔に張り、 華麗なるプレイを見せる少年…というのが放送されていますが、 あのバッグで使われている「うわさの男 Everybody's Talkin'」を聞くと、 この映画を思い出すという方もいらっしゃるのでは?
田舎の二枚目・ジョー(ジョン・ボイト)が、 意気揚々とニューヨークを目指して町を出ていくシーンで使われていて、 あの明るい曲調もあり、 非常に希望に満ちた映画が始まる予感を与えますが、 見進んでいくうちに、どんどんとそのイメージは打ち崩されていきます。 実際は、何とも苦く厳しい映画でした。
ジョーはNYで、いわゆる男娼として身を立てようとします。 何しろ田舎では、 自分に溺れて「壊れてしまった」女性がいたくらいですから、 その男っ振りには自信がありました。 NYでは浮きまくりのカウボーイファッションも計算ずくです。 自分では、かなりイケてると思っているのでした。
が、そのケは全くないのに、男色の青年に手を出されたり、 女性と寝たら、逆に金を要求されたり、 全くいいところがありません。 NYの人間から見たら、彼などただのイモ兄ちゃんなのでした。 そんな失望の中で、彼はリッツォ(ダスティン・ホフマン)という、 足の不自由な、みすぼらしい男と出会います。 本名にひっかけて、ラッツォ(ドブネズミ野郎)と揶揄されているような、 そんな彼を、最初はうとましく思いますが…
よくも悪くもアメリカン・ニューシネマらしい映画で、 異色の「男の友情物語」でした。 個人的にはちょっと後味の悪さを感じましたが、 傑作ではあると思います。
なお、蛇足ですが、ジョン・ボイトはアンジェリーナ・ジョリーのパパ。 彼女が『十七歳のカルテ』で助演女優賞を獲得したとき、 父娘二代で獲ったということで、かなり話題になりましたね。 (ボイト自身は、過去1978年度に『帰郷』で受賞歴があります) 親子、兄弟姉妹、夫婦などの身内ノミネートの例は結構ありますが、 受賞に至るケースはやはり珍しいようで。
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