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1938年12月26日、中谷宇吉郎博士らのグループが、 雪の人工結晶に成功したそうです。 「雪は天から送られた手紙である」 の名言でも知られる博士に因み、 雪のシーンが印象的な映画を…と思ったものの、数限りないので、 では、人工結晶にちなみ、本物の雪ではないものの、 とびきり美しいシーンが見られた次の作品を。
シザーハンズ Edward Scissorhands 1990年アメリカ ティム・バートン監督
上品な老婆に孫が「どうして雪は降るの?」と尋ねるところから、 あくまでファンタジックに、かわいらしく、映画が始まります。
両手がハサミになっている人造人間エドワード(ジョニー・デップ)は、 自分をつくってくれた科学者の死後、 ひっそりと身を寄せていた廃屋(一応お城)にセールスに来た 化粧品のセールスレディ(ダイアン・ウィースト)に引き取られ、 おっかなびっくり、人間世界で暮らし始めます。 心が優しく芸術的センスのあるエドは、両手のハサミを生かして、 ヘアカットや犬のトリミングなどにも才能を発揮し、 何となく界隈の人気者になるのですが、 いつもおどおどしていました。
引き取られた家には、 キム(ウィノーナ・ライダー)という美しい少女がいて、 エドワードはいつしか彼女に惹かれていくのですが、 彼女にはマッチョで金持ちのバカ男の彼氏がいますし、 最初はエドワードを薄気味悪がり、疎ましく思うのでした。 が、マッチョバカの尊大さが鼻につくと同時に、 エドの純粋過ぎて傷つきやすい精神性に 徐々に惹かれるようになっていきます。 けれども、それは決して幸せな恋ではありませんでした…。
エドワードには、邪心というものは全くありません。 が、両手のハサミが邪魔で、傷つけてしまうので、 愛する人を抱きしめることはおろか、触れることもできません。 実際、厚意からキムの弟に助けたはずが、 ハサミでけがを負わせてしまったりして、 誤解され、だんだんに排斥されるようになってしまうのでした。 けれども、彼がハサミによって悲劇的な方向に向かえば向かうほど、 キムは彼を愛してやまなくなるように見えました。
老婆が孫に聞かせたのは、このエドの物語でした。 雪は、エドがハサミで氷を削って降らせてくれるのだそうです。
ところで、この映画のウィノーナ・ライダーは、 金髪のロングヘアでしたが、 ブルネットの印象が強い彼女、実は金髪の方が地毛だとか。 「自分には金髪は似合わない」からと、かなり若いうちから 染めた髪をトレードマークのようにして仕事をこなしてきましたが、 ちょっとわがままで、それでいて優しい面も持った少女役には、 金髪のはかなげなルックスがぴったりでした。
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