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2001年11月23日(金) 浮き雲

今日11月23日は、『勤労感謝の日』にして
『いい夫妻の日』でもあるそうですね。
(昨日11月22日は『いい“夫婦”の日』でした)
そんなに夫婦に因む日ばかりつくってもらわなくてもいい気もしますが、
おかげで今日は、“勤労”と“夫妻”の
両方から連想できる映画を御紹介することができそうです。

浮き雲 Drafting Clouds

1996年フィンランド 原題直訳「浮き雲」
ビデオ&DVD あり(ユーロスペース/アップリンク)
製作・監督・脚本 アキ・カウリスマキ


オールドムービーのファンの方なら、
林芙美子の原作に材をとった成瀬巳喜男監督作『浮雲』の方を
まず思い浮かべられるかもしれませんが、
本日御紹介しますのは、
寒いフィンランドで、まともに会話もしていないのに、
不思議なほどいい関係を保っているなーと感じられる、
1組の失業者カップルのお話です。

市電の運転士とレストランの給仕長として働いていた
ラウリとイロナの夫婦は、
ひょんなことからそろって失業し、
2人して結構いい年なのに、職探しを余儀なくされます。
ラウリが見つけてきたロシアへの観光バス運転手の口は、
実はラウリの片耳が聞こえていないことが発覚して取り消し、
イロナも、怪しげな紹介施設に金を取られそうになったり、
せっかく働き始めた食堂も、雇い主が悪党で金をもらえず、
抗議に行ったラウリがボコボコにされるなど、
全くいいことがありません。

…はっきり言って、これだけ読んで「見てみよう」と思った方には、
あんまりお勧めしません。
むしろ、「こんな話のどこがいいの?」と思っちゃったような方にこそ
見ていただきたい作品です。
というのも、これってコメディーだったか?と思ってしまうほど、
笑っちゃうシーンが多いのです。
人間が生きていこうとする姿って、こっけいなのですね。
だからいとおしくも醜くもなるということが、本当によくわかります。
ラウリもイロナもテンションはかなり低いのですが、
それなりに生きることにしがみついていて、そこに好感が持てました。

イロナ役は、『マッチ工場の少女』『白い花びら』など、
アキ・カウリスマキ監督作の常連(というよりはつきもの?)の
カティ・オウティネンという女優さんですが、
いかにも薄幸そうな線の細い人で、
美人なのか不美人なのか、何度見てもわかりません。
でも、きっとフィンランドには多いタイプの女性なのでしょう。


ユリノキマリ |MAILHomePage