Dailymovie
DiaryINDEX|past|will
きょうはちょっと地味な“歴史”に因んで… 1924年11月11日 ユージン・オニールの戯曲『楡の木陰の欲望』が初演
この著名な劇作家も含め、多数の“実在の人物”も登場した、 ドキュメンタリー風傑作コメディーをどうぞ!
カメレオンマン Zelig 1983年アメリカ ウディ・アレン監督
アレン曰く「仕事を終えたサラリーマンが家に帰って 趣味に勤しむように、少しずつ作り上げた」作品だとか。 労作ながら暑苦しさはなく、気楽に楽しめるのですが、 かなり多くのものを残す作品でもあります。
20年代、レナード・ゼリグ(W.アレン)という変わった男がいました。 他人に嫌われまいと同調ばかりするうちに、 同調した人物そっくりになってしまう“奇病”の持ち主です。 話し方や雰囲気ばかりでなく、 肌の色や顔だち、体型まで変わってしまうのです。 珍しがりの連中からは、“カメレオン男”として妙な人気を得、 ちょっとしたブームになってしまいました。
ゼリグに興味を示し、研究と治療に当たった 医師ユードラ・フレッチャー(ミア・ファロー)といつしか恋仲になり、 自分というものをつかんでいく彼でしたが、 過去の身に覚えのない「悪事」がだんだんと暴露されていくうちに、 怨嗟の的となり、行方をくらましますが…
ちょっと『フォレスト・ガンプ』に近いところのある作品ですが、 もっと巧みです…と、あえて言い切ってしまいましょう。 (でも、あの映画も私は嫌いではありません) 基本はモノクロですが、 ところどころに差し挟まれるインタビューはカラー映像で、 しかも日本上映版は、そことナレーションは吹替になっています。 ちょうどETVのドキュメンタリーを見ているような気分で見られますが、 アレン自身が演じているゼリグの映像を見ていると、 ところどころでいかにも彼らしい、 ちょっとシニカルでおかしな台詞も聞かれます。 彼が自分を殺して人と同調するようになったきっかけの1つに、 「メルヴィルの『白鯨』を読んでいないのに読んだふりをした」 というのがありますが、 最後でこれを受けた台詞が出てくるので、お聞きのがしなく。
正直申し上げて、あれだけ個性的な才人が、 自己のアイデンティティーをテーマにしたような映画を あえて撮ったことに、驚かないでもありませんでしたが、 多分、自分を取り戻した後のゼリグは、 かなり自分の姿を投影したものだったのでしょう。 だから、もしもアレンのファンでこの映画は未見という方がいらしたら、 彼の意外な面を見つけることができるかもしれません。
何はともあれ、80分そこそこの短い作品でもありますし、 気軽にたくさんの人々に見ていただければと思います。
|