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2001年10月06日(土) 生きる

今日10月6日は、「役所改革の日」だそうです。
あのドラッグストア「マツモトキヨシ」の創設者でもあるアイデアマン、
松本清氏が、千葉県松戸市長だった1969年当時、
市民の要望に迅速に応える「すぐやる課」を創設しました。
「すぐやる課」は、70年代にテレビドラマのモチーフにもなったので、
全く縁のないところに住んでいた人にもおなじみの名前になりました。
私も見ていた覚えがあります。

ならば、この映画でしょう。

生きるTo Live
1952年日本 黒澤明監督


この間ビデオで観た『ハイ・フィディリティ』の中で、
2人組の悪ガキが、ジョン・キューザックが経営するレコード店で、
レコードやCDを大量に万引きするシーンが出てきましたが、
中にはしっかり「リュウイチ サカモト」のものもありました。
日本人としては、さすが「世界のサカモト」だと感心するシーンですが、
(ここでカタカナの「サカモト」を見て笑った方は、「まんくら」読者?)
本日御紹介する映画の監督は、「世界のクロサワ」です。
その名前は、気難しげなウディ・アレンの『セプテンバー』の中で、
ミア・ファローの台詞に織り込まれたほどです。

主人公は、某市役所の市民課長である渡辺(志村喬)。
毎日毎日、いかにもお役所仕事的な仕事を、
死んだように退屈にこなす毎日を送っていて、
家庭でも、息子の嫁に疎んじられていたりする男です。
が、実は彼は胃がんにおかされていて、余命いくばくもない体でした。

病院での待合の他愛もないやりとりから、
自分の病気が重篤であることを悟った渡辺は、
生に執着するかのように、
元部下で、退職しておもちゃ工場で働くとよ(小田切みき)を誘って
遊び回り、周囲から非難されたりするのですが、
工場のノルマに閉口しつつも頑張るとよに諭され、
自分のなすべきことを見出し、「それ」に全力投球してから
この世を去っていきます。

彼の最後の頑張りは何ゆえだったのか?
彼が残したものは、どんな重い意味を持っているか?
彼の葬儀に集まった人たちは、考えずにいれらませんでした…

「それ」を明かしても、いわゆるネタバレにはならないと思いますが、
彼が最後に全力投球したのは、公園の建設でした。

でも、市民課といえば、あの市民課ですね。
各種届を受け付けたり、
住民票やら戸籍謄抄本やらの書類を出したりする、あそこです。
本来ならば、公園の建設というのは「管轄」の違う仕事のはず…
役所の縦割り行政批判もあったのでしょうか?(よくわからないけど)

この映画を初めて観たとき、実は私は市役所に勤めていました。
それも、めちゃくちゃ専門性の強い部署でした。
そのせいか、ほんの少し「おためごかし」だと感じたことも、
残念ながら否定できません。
それでいて、感涙もまた禁じ得ませんでした。
「命短し 恋せよ乙女」で有名な「ゴンドラの唄」のシーンも、
鮮明に思い出されます。


ユリノキマリ |MAILHomePage