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2001年09月08日(土) セントラル・ステーション

さて、本日9月8日は、国際デーの1つである
“識字デー”だそうです。
1965年、イラン国王が軍事費の一部を
識字教育に回す提案したことを記念して、
ユネスコが制定したとか。
現在、世界中で、教育を受けられなかったために
読み書きができない人(15歳以上)が、ざっと10億人いるとのことです。
もちろん、我が日本にも、ごくごくごく少数ではありますが、
さまざまな理由で字の読み書きができない人がいらっしゃいます。
“理由”の大半は、非常に悲しい背景を持っていて、
こうして毎日メールの送受信ができることがどんなに幸せか、
考えずにはいられません。

で、本日はこの映画にしました。

セントラル・ステーション
Central Do Brasil

1998年フランス/ブラジル バルデス・サレス監督


余り関係ない話ですが、やはりリオ・デ・ジャネイロが舞台の
『黒いオルフェ』も、ブラジルとフランスの合作でしたっけ。
両国の映画的なつながりって、何なのでしょう。
(というか、フランスって、いろんな国の映画製作に
お金を出しているような…)

主人公は、元小学校教師で、現在はリオ中央駅で
字が書けない人などのために、
手紙の代筆を請け負っている、ドーラという老婦人です。
(フェルナンダ・モンテネグロ…好みです、私)
彼女はかなりこすっからい女性で、
もっともらしい顔で請け負いながら、
「こんなの出したってむだなのに」と思うような手紙を勝手に判断し、
切手代だけ着服して捨ておくようなことを平気でしていました。

ところで、あくまで数値としての印象ですが、
ブラジルにおける成人の識字率は、
それほど低いわけではありません。
8割〜9割には達しているそうです。
言い換えれば、10〜20%は字の読めない人もいるということですが。
その数字でも代筆業が成り立つという意味なのか、
読み書きができない以外の理由で頼む人もいるということなのか、
その辺は映画ではわかりませんでしたが、
映画に引き込まれてしまえば、「ま、いいか」となる程度の要素です。

話を戻しましょう。
そんなドーラが、客の女性が子供の目の前で
車に轢かれて亡くなったことをきっかけに、
その子供…ジョズエという少年を、
父親のもとまで連れて行くことになりました。
(いや、その前にいろいろあるんですが、
結構ドロドロしていますので。まあ、見て確かめてください)

いわゆるロードムービーです。
この映画が封切られた年、
北野武監督の『菊次郎の夏』も公開されましたが、
どちらかを先にごらんになると、後にごらんになった方を、
「『菊次郎…』(or『セントラル…』)に似ているなー」と思うことでしょう。
どちらが好みかは人それぞれですが、
私はこちらの『セントラル…』の方が好きです。

ドーラは利己的なごうつくばばぁに見えて、
根っからの悪人ではありません。
少年(ジョズエという役名)のピンチには危険を省みずに馳せ参じ、
なんだかんだと世話を焼く、ちゃんと人間の心を持った人です。
ジョズエはジョズエで、最初は反抗的な態度をとりながらも、
次第にドーラと心を通わせていくのですが、
その辺の繊細な描写がよかったと思います。
素朴で温かで、それでいて甘ったるくない映画が見たいとき、
候補に入れてくださいませ。

ところで、ドーラ、ジョズエって、聞いたことありませんか?
『ライフ・イズ・ビューティフル』の
母親と息子の名前と全く同じなんですよね。
ラテン系に多い名前なんだと思いますが、私は見ている最中、
これでグイド(『ライフ…』のロベルト・ベニーニの役名)って名の
成人男性が出てきたらどうしよう…と、要らぬ心配をしていました。
映画のストーリーにもテーマにも関係ありませんが、参考までに。


ユリノキマリ |MAILHomePage