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2001年08月29日(水) 昨日・今日・明日

昨日・今日・明日 Ieri, oggi, domani
1963年イタリア ヴィットリオ・デ・シーカ監督


ナポリ、ミラノ、ローマを舞台に繰り広げられる
セックスや恋愛をテーマとした
3つのコメディーのオムニバスです。
設定はそれぞれにガラリと違うのですが、
主演はすべてソフィア・ローレンと
故マルチェロ・マストロヤンニ。
何やら、『まんが日本昔話』で
市原悦子と常田富士男が
2人ですべての役をこなしていたのを思い出しました。
(といっても、別にあの番組を連想させるような
映画というわけではありません)

第1話「ナポリのアデリーナ」
夫は失業中、自分は税金を滞納しつつ闇タバコ売りの毎日で、
家具の差し押さえなどを何とか切り抜けながら、
刑務所につながれることを恐れつつも、
たくましく生きるアデリーナが、
妊娠している女性は、
妊娠中と産後6カ月は刑務所に入らなくていいことを知り、
夫の“協力”を得て、次々と妊娠・出産を繰り返す、
実にアホな設定です。
幾ら子供を産み、育てても、アデリーナはやつれるどころか、
産むたびに美しくなるようで、
一方、情けないのが、アデリーナに精気を吸われたように
みすぼらしくなっていく夫です。
とうとう受胎に失敗したとき、
アデリーナは自ら進んで刑務所に入るのですが、
この辺のくだりが少々ホロリとさせます。

男の失業、滞納も仕方ないような重税(追徴もあるのでしょうが)、
闇タバコでも売らなきゃやっていけない生活苦、
アデリーナの型破りな法逃れに協力する街の人々……などなど、
体制批判の意味もある映画だったのだと思いますが、
深刻にならず、ケラケラ笑いながら見られます。

以下、上流の女性とその愛人である
作家(多分売れていない)の逢引き、
そしてトホホな破局を描いた第2話『ミラノのアンナ』、
神学生に恋される美しく気のいい娼婦と、
彼女の上客である金持ちのバカ息子の災難?を描いた
第3話『ローマのマーラ』と、
どの映画を見ても、ソフィア・ローレンは強く美しく、
マストロヤンニは情けない男を好演していました。
多分、こういう映画を
「イタリアらしい」と表現するのでしょう。

どの映画のソフィア・ローレンも美しかったけれど、
やはり「豊かな胸、木綿のワンピースで子だくさんでワッハッハ」
という画づらが最もキマっていた気がします。
そんなわけで、私は第1話が最も好きです。


ユリノキマリ |MAILHomePage