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2001年08月06日(月) クール・ランニング

1945年8月6日、日本が世界で唯一の被爆国になった日です。
戦争体験のない世代にとっても、
忘れ、風化させるべきではない出来事ではありますが、
毎年夏になると、平和の戦争反対のとやり出す風潮が、
私はどうも苦手です。
「思い出す」ということはつまり、
「忘れている」ということだと、
閑吟集だったかにもあったようですが、
思い出す間もなく、
いつもいつも平和について考えるというのは
難しいことでしょうか?

そこで、8月6日についても、
ほかに何かないかと探したら、
「ジャマイカの独立記念日」というのがありました。
正確にいうと、外国の記念日によくあるパターンで、
「8月の第1月曜日」ということだそうですが、
ことしは今日8月6日ということになります。
1962年8月6日、イギリスから独立……とのこと。
なんだ、くどくど書く必要はありませんでした。

ジャマイカといえばレゲエ音楽ですが、
そのレゲエもふんだんに使われ、
かつその国名を世界中に一気に親しみやすいものにした
映画がありました。
メジャーな役者さんが辛うじて1人出ているだけとはいえ、
そのユニークでハートウォーミングな内容が受け、
日本でもヒットした、次の作品です。

クール・ランニングCool Runnings
1993年アメリカ ジョン・タートルトーブ監督


この映画に出ていた
「日本でも比較的メジャーな唯一の役者」とは、
映画撮影後に亡くなった巨漢ジョン・キャンディです。
元ボブスレーアメリカ代表で、
おんぼろチームのコーチをしぶしぶ引き受ける役どころでした。

落ちぶれ、競馬のノミ屋などをして生活しているところを、
陸上選手デリースに声をかけられ、
デリース、彼の親友サンカ、
何とかジャマイカを抜け出したいユル・ブレナー、
大企業を経営する父親に逆らえないジュニアの4人を、
世界に渡り合えるボブスレー選手にすべく、
最初は半ば無気力に、
中盤以降はかなり親身に指導することになります。

実話がベースになっているということで、
かなり話題になった映画ですが、
あのジャマイカで、雪も見たこともない青年たちが、
ボブスレーでオリンピック出場!という事実以外は、
創作の部分も多かったようです。
重ねてになりますが、映画よりも想像を絶するエピソードが
幾つもあったようです。

ダメダメ集団と思われていたのが、
見事に何かを成し遂げるという感動もさることながら、
そのプロセスをコメディータッチで見せるという手法の映画は、
結構たくさんありますね。
例えば『メジャーリーグ』、
例えば『フル・モンティ』といったあたり。

この手の映画はしばしば「あざとい」と軽んじられたりしますが、
そのあざとさを堂々と見せつけるタートルトーブの演出には、
むしろ潔いさわやかさがあります。
彼のほかの作品もそうですが、
登場人物やモチーフなどへの愛のようなものを非常に感じるので、
見ていて心地よいものです。
お嫌いな方は、
そういうところをうっとうしく感じるかと思いますが……。

家族で楽しめそうな無難なスポーツコメディーに見えて、
意外と好き嫌いが分かれる映画かもしれません。
が、あえてお勧めいたします。

なお、原題の「Cool Runnings」とは、
「いい旅を!」「旅に平穏あれ」というような
ニュアンスで使われる、ジャマイカの決まり文句だとか。
作中、お調子者でジャマイカ大好きのサンカが、
卵にキスをするおまじないを何度もしたり、
プッシュカートのレースに出場したりして、
断片ながら、ジャマイカという国に親しみの持てる描写も
ところどころで出てきます。
ラスタカラーも目にまぶしいですよ。


ユリノキマリ |MAILHomePage