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いつものように、記念日関係のサイトをチェックしておりましたら、 7月30日、次のような出来事があったことを知りました。
☆南アフリカ政府が映画『遠い夜明け』の上映を禁止(1988年)
となれば、素直にこれを採用しましょう。 私も感銘を受けた映画の1本です。
遠い夜明けCry Freedom 1987年イギリス サー・リチャード・アッテンボロー監督 (※1993年には“ロード”の称号を授与されています)
R.アッテンボローといえば、 『ガンジー』での大量オスカーゲットの印象も強い名匠ですが、 今でも俳優としても活躍していて、 特に94年製作の『34丁目の奇跡』でのサンタクロース役などは、 結構おなじみではないでしょうか。
『遠い夜明け』に描かれたのは、ずばり、 南アフリカの悪名高き人種隔離政策“アパルトヘイト”です。 デンゼル・ワシントンが、実在の黒人活動家スティーブ・ビコに扮し、 そんな彼に「白人差別主義者だ」とかみついたことで、 少なからず南アの裏の現実を見る機会を得、 友情を育むことになる白人リベラル派記者を、 芸達者のケヴィン・クラインが演じていました。
これはあくまで個人的な感想なんですけど、 このときのクラインが演じたドナルド・ウッズという人物は、 「奇をてらって」そう言ったようにしか見えないタイプの人物でした。 だものですから、見ているこちら側としては、 「ああ、こういうおっさんってよくいるよね。 とりあえずインパクト与えとこ、みたいな」 と、変に親しみのようなものを抱き、 場違いな社会派映画見にきちゃったかな? 腹具合も悪いのに……などという軽い後悔が、 一気に拭えてしまいました。 おかげで、1度もトイレに立つことなく、 じっくりと堪能することができたのでした。 あくまで個人的な感想ですが……。 それにしても、腹具合の悪いときに、 なぜわざわざ映画を見に出たのか、全く思い出せません。
それはさておき。
ワシントンは、この映画あたりから、 「第二のシドニー・ポワチエ」と騒がれ出した覚えがあります。
アパルトヘイト下で、南アに経済的な支援もし、 “名誉白人”などと言われた日本人としては、 見ていて辛い部分も多かったのですが、 サスペンス色を増す終盤まで、見応えは十分です。 良心的な社会派でありながら娯楽性すらあり、 見ておいて損はない1本として、 強く推したいと思います。
1991年、アパルトヘイト関係法は廃止され、 制度上は廃絶されたことになっています。 94年にネルソン・マンデラ氏が正式に大統領に就任したことも、 世界中で好意的に受けとめられたかに見えました。
でも、どうなんでしょうね。 何しろ、そのたった3年前、映画の上映を禁止した国です。 また、人種差別そのものについては、 責められるべきは南アだけではないはず。
映画が究極の高見の見物だからこそ、 無責任に怒ったり、笑ったり、泣いたりできて、 だからこそ私たちは「映画を見る」ということが 好き(少なくとも私は)なわけですが、 社会的問題を描いた映画の“現実”は、 いつも地球上のどこかにあるんですよね……。
根本的解決のために、庶民レベルでは何ができるわけではない。 でも、いつでも、「こういう現実もある」ということを、 心に留めておきたいと思います。
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