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2001年07月10日(火) シューティング・フィッシュ

シューティング・フィッシュShooting Fish
1997年イギリス ステファン・シュワルツ監督


失読症だけれど、輝く笑顔と口八丁が売りのディラン、
頭はいいけれど、人づきあいが下手なジェズは、
幼少時代を同じ施設で過ごし、
共通の夢……大邸宅をゲットするために、
ジェズがつくった怪しげな発明品を、
ディランが売りさばくという格好で稼いでいました。
はっきり言えば、詐欺師コンビです。
オープニングから、超高性能音声認識コンピュータの売り込みが
笑わせてくれます。

ディランを演じたのは、『バードケージ』でR.ウィリアムズの息子役を
ニコヤカに演じていたたれ目ハンサムのダン・ファターマン、
ジェズ役が、海砂利水魚(くりいむしちゅう)の片方か、
OASISのギャラガー兄弟のどっちかかという顔立ちの、
スチュアート・タウンゼントでした。

金持ち(それも悪党)から金品を巻き上げる分には、
何せ「鼠小僧」みたいな義賊も名高い国で生まれ育った者としては、
「もっとやれー」と応援したくなりますが、
この2人、その辺の一般ピープルもだましているのが
ちょっと感心しません。
その辺に不満はあるのですが、
なんだかんだ言って、楽しんでしまいました。

タイピングの腕を買われ、
2人の“ビジネス”の秘書的な仕事をこなすために、
バイトに雇われた医大生ジョージーを演じていたのが、
ケート・ベッキンセールでした。
正直、今この人が出ているシャンプーのCMなど見ていると、
「この人、こんなにオカチメンコだったかな」と思ってしまうのですが、
この映画では、ベリーショートが非常に似合う、
何というか硬質の魅力を放っていました。

色気不足のためか、
女性に強いディランにはいまいちアピールしませんが、
カタブツのジェズが彼女にまいってしまい、
ジョージーはジョージーで、
ジェズを「キュート」だと思うようになります。
なかなかナイスなカップルなんです、これが。

2人に騙されて、
詐欺に加担している格好になっているジョージーにも、
実はすごい秘密があるのですが、
それはごらんになってのお楽しみ。
びっくりするようなハッピーエンドなので、
ハッピーエンド支持派にはお勧めします。

“Shooting Fish”とは、(樽の中の)魚を撃つのはチョロい、
転じて、「簡単に騙せる」というような意味ですが、
さほど長くない(100分足らず)映画の中で、
そんな若者のおごりに釘を刺すようなスケッチも、ちゃんとあります。
人生観を変えるほどの作品ではありませんが、
気軽に楽しめるかと思います。

お互いの欠点を、それぞれの美点で補い合うタイプの犯罪コンビだと、
同じくイギリスの『プランケット&マクリーン』なんかもそうでした。
おまけに、ヒロインの美人度も半端ではないし。
ただ、こちらの作品は、ロバート・カーライル!ジョニー・リー・ミラー!
そしてリブ・タイラー!という、
まことに絵になりそうな人たちの名前だけに騙されたみたいな気持ちです。
私はちょっと乗れませんでした。
もし、「いい映画じゃない。どこ見てたの?」と異議ありの方がいらしたら、
レビューなどお寄せくださいませ。


ユリノキマリ |MAILHomePage