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1903年6月25日、 イギリスの作家ジョージ・オーウェルが生まれました。 (1951年1月没) 私はこの人の作品というと、評論やエッセーと、 小説では『動物農場』くらいしか読んでいないのですが、 映画化された作品では、『1984』などというのもありました。
で、そのとりあえず読んだ『動物農場』ですが、 ここから連想する映画というと、コレしかありませんでした。
ベイブ Babe 1995年オーストラリア クリス・ヌーナン監督
この映画も、アカデミー賞にはそれなりにノミネートされました。 作品賞、監督賞のクリス・ヌーナン、 助演男優賞ジェームズ・クロムウェル、 あとは脚色賞という格好で、すべて空振りではありましたが、 ともすれば子供向けに見られがちな動物映画としては、 かなりの健闘といっていいと思います。 (子供向けがだめなのではなく、 子供向けの映画って、大抵子供だましなのが腹立つものですから)
この年は作品賞が『ブレイブ・ハート』で、 監督賞をその監督をしたメル・ギブソンが受賞し、 あとはキャスト以下各部門賞を、 その後末永く評価されるであろう名作・名優で 分け合ったという格好です。 (これについてのボヤきは、多分同時に配信されているであろう もう1通の方をごらんいただければと思います)
お祭りの「子豚体重当てクイズ」の景品になっていた 子豚のベイブは、 善良なる農夫アーサー・ホゲットと運命的な出会いを果たし、 ホゲットの牧場にやってきます。 農場で牧羊犬をしているフライを母親のように慕い、 その優しい性格が羊たちにかわいがられているうちに、 命令ではなく「お願いする」という方法で 羊たちを取りまとめるという才能をはっきします。 それを見出したホゲットは、周囲から嘲笑されながら、 ベイブを牧羊犬のコンテストに出すことにしました。 さてさて、結果はいかに?
思えば、かなりブラックに作品ではありました。 オーストラリア……一応が舞台なのでしょうが、 ともすれば無国籍にさえ見えてしまうほどの、 民話にでも出てきそうなのどかさの牧場を切り盛りする、 アーサー&エズメのホゲット夫婦はそろって好人物だし、 人間の視点で描いていたら、「それがどうした」で 終わりそうなエピソードが並んでいるだけなのですが、 例えばエズメが料理上手で家庭的であればあるほど、 いつベイブを食べてしまうか気が気じゃないし、 嬉々としてベイブにえさを与えているところなど、 ほとんど『ヘンゼルとグレーテル』の悪い魔女です。
「ベイブ」という名も、動物仲間で便宜上呼んでいた名で、 ホゲット夫妻は、ただ「ブタ」と呼んでいました。 中途半端に人間寄りにならないのも、 この映画が『動物農場』を連想させる要因であり、 またおもしろさでもあったかと思います。
そして、エズメを演じた女優のルックスもまた、 冗談のようなものがありました。 ジョークのつもりで「ベイブのお母さん」と呼んだら、 しゃれにならなそうというか。 まあ、「狙った」のでしょうが、 この女優さんの起用の意義は、3年後の続編では より生かされている気がします。
ところで、見た映画にインスパイアされて、 その日のランチや夕飯のメニューを選ぶ人もいましょうが、 「ベイブ」を見た後、とんかつやポークジンジャーに 舌鼓を打った人って、実際にいるのでしょうか。 同じことは、ロバート・レッドフォードが監督した 『ミラグロ』を見たときにも思いました。 (機会があったら取り上げたいと思います)
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