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2001年06月26日(火) サークル・オブ・フレンズ

1970年6月26日、俳優のクリス・オドネルが生まれました。
中途半端な童顔が災いしているのか、
どうも芸域が広がらない感のある彼ですが、
次のような青春映画の傑作に出ていました。

サークル・オブ・フレンズ CIRCLE OF FRIENDS
1995年アメリカ・アイルランド パット・オコナー監督


50年代のアイルランド、仲良し3人娘ナン、イブ、そしてベニーは、
同じ大学で勉強しています。
ナンは美人だけれど、貧しい自分の境遇を恥じ、
金持ちとの結婚を夢見ています。
イヴは孤児で尼僧院で育てられましたが、屈託なく、
おとなしそうな容姿に似合わず歯に衣着せぬタイプ。
ベニーは、毎日毎日同じ時間にバスで家に帰る箱入り娘で、
自分の太目の体へのコンプレックスもあり、
異性に興味がありながら積極的になれません。
(カトリックであるというせいもありましょうが)

ベニーはナンから、ジャックという好青年を紹介されます。
ベニーはジャックを憎からず思うようになり、
スポーツの花形選手で、ええとこの坊ちゃんのジャックは、
女の子なんてよりどりみどり……に見えますが、
実は非常に堅実で、「瞳の美しい」ベニーに何か感じるものがあり、
彼女との交際を真剣に考えます。
(ベニーを気に入った父親に、自分の気持ちを照れながら話す
彼は、なかなか魅力的でした)

ベニー役は、『ジッド・ウィル・ハンティング』『スリーパーズ』
『理想の結婚』などのミニー・ドライヴァー、
ジャック役がクリス・オドネルでした。

ベニーとジャックの恋は、お互いの妙な遠慮もあり、
なかなか前に進みません。
かてて加えて、ベニーの親が決めた婚約者ショーンや、
親友だと思っていたナンの裏切り行為もあり、
102分の枠の中で、じれったく進んでいきます。
でも、繊細な映像表現はなかなか捨てがたいものがあり、
殊にM.ドライヴァーの「冴えない女子学生」ぶりは見事でした。
考えてみれば、最近、ストレートに「青春映画」と呼びたい作品が
余りつくられていない気がするのですが、
この映画はそうしたジャンルでは正統派だと思います。
それでいて、随所にちょっとしたひねりもあり、
結構楽しめるかと思います。

ところで、かなり個人的な話を1つ。
この映画での貴族役といい、
『恋におちたシェイクスピア』といい、
最近、やな奴役が多いコリン・ファースですが、
今年の初め、NHK地上波で放映されていた『高慢と偏見』には
すっかりはまってしまいました。
ジェーン・オースティンの同名タイトルの小説を映像化し、
3回に分けて放映されていたのですが、
彼は、つっけんどんに見えて、実は頼れる人格者という
ダーシィ役でした。
『サークル…』では、ハンサムな貴族の若君という設定でしたが、
いかにもスケベそうだし、何より人間として最低でした。
「悪人ではないけれど、やな奴」に見えてしまうダーシィも
よかったのですが、
清々しいほどの嫌な奴というのも、
映画的には見ていてオイシイ気がします。


ユリノキマリ |MAILHomePage