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2001年06月20日(水) 赤ちゃんはトップレディがお好き

何でも、2000年度統計の合計特殊出生率が
(1人の女性が生涯に産む子供の数の平均)
1999年度に比べて0.01ポイントだけ上昇したそうですね。
それでも調査史上ワースト2ということだそうですが、
何しろ「31」のアイスクリームの商品名にも採用された、
その名も麗しのミレニアム〈千年紀〉効果が、
一応このわずかな出生率向上に貢献したようです。
91年に長女が誕生以来、ひとりっこ政策をとっていた我が家でも、
ブームに乗ったわけではありませんが、
友人たちから「ミレニアムベイビーじゃん」と冷やかされつつ、
次女を迎え入れました。

時ならぬベイビーブームというほどの盛り上がりは
なかったものの、
この「ミレニアムベイビー」という言葉だけは、
それなりに流行しましたっけ。

赤ちゃんはトップレディがお好き Baby Boom
1987年アメリカ


ダイアン・キートンが、ハーバードとイエールを卒業した
大手広告会社のエグゼクティブという「いかにも」な役を、
コメディエンヌ根性丸出しで好演した作品です。
人生を変えてしまうような作品ではありませんが、
質のいいコメディーを見たいときにはぴったりでしょう。

仕事はバリバリ、収入たっぷり、
恋人(『ゴースト・バスターズ』のハロルド・レイミス)もいる、
そんな生活に満足していたダイアン(役名失念)のもとに、
いとこが残した遺産相続の話が舞い込みます。
その「遺産」とは、
まだ1歳で両親を失った、姪のエリザベス嬢でした。

寄るべないいたいけな子供を放り出すこともできず、
里子に出そうとしたり、ベビーシッターを雇ってみたり、
子持ちの友人に焚きつけられて早期教育の教室に通ったり、
あれやこれやと手を尽くし、頑張ってはみるものの、
結局どうにもうまくいかず、
恋人には去られ、嫌みな後輩に仕事をとられ、
すっかり疲れ切ってしまいます。
ちなみに、「嫌みな後輩」を演じていたのは、
ジェームズ・スペイダーでした。
(この人、ハンサムで実力派なのが却って災いし、
一時期はこの手の役ばかり演じていた気がします。
『ブリティ・イン・ピンク』『放課後』『結婚の条件』などなど)

ダイアンは仕事を辞め(させられ)、
いつか買おうと思っていたリンゴ園のついた家を買い、
エリザベスと2人で、
のんびりと田舎暮らしをしようと決心します。
この家が格安なだけあって、かなりの欠陥住宅だってりして、
ただでさえ慣れない田舎暮らしに
計算違いを感じ始めたこともあり、
持っていき場のない不満を、
彼女に気があるらしい獣医(サム・シェパード)に
ぶつけますが、
このことで憑き物が落ちたように、
彼女はビジネスへの意欲を見せ始めました。

もともとエリザベスの離乳食のつもりでつくっていた
リンゴの瓶詰めを村の商店で扱ってもらうようになり、
評判よく売れていることに気をよくした彼女は、
昔とった杵柄よろしくリサーチを始め、
販路を拡大していきます。

ついには、自分を切り捨てた古巣の会社が
彼女にビジネス話を持ってくるまでになりました。
またとない条件を提示され、
またバリバリ働けるチャンスが訪れたと喜んだものの、
もう一度、自分にとって大切なものは何か?
自分が選ぶべきは何か?と考えたとき、
全く違う形の幸せを、
彼女はつかむことができました……とさ。

先が読めるお話ではあると思いますが、
ぶつくさ文句を言いながらも、前向きに何とかしようとし、
欲しいものや必要なものを自力で引っ張ろうとする彼女の姿は、
非常に潔く、見ていて気持ちのいいものでした。

今や、田舎で暮らしていることも全くハンディにならない、
ネット上のビジネスで成功している人も全く珍しくないので、
プロット自体は古くさい感じすら禁じ得ないかもしれません。
それでも、ダイアンのコメディーセンスと、
エリザベスを演じた子役ちゃんの愛くるしさは、
ぜひともお勧めしたいと思います。

余談ですが、この映画を見にいった新宿プラザで、
今でいうアフロ犬みたいな七色のアフロのかつらを被り、
タイガーマスクのお面をかぶっていた人を見かけました。
当時(1988)新宿界隈に、
「タイガーマスク」と呼ばれる人物が出没する……という
噂があったようですが、
彼(彼女?)がその人だったのか、私はその風体の人を、
やはり新宿の別の場所で1度見たことがありました。
これもまた、映画鑑賞の思い出です。
文字で「再現」しようとしても、イマイチ衝撃が伝わらないのが
残念ですが。


ユリノキマリ |MAILHomePage