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1969年5月25日、女優のアン・ヘッチ(ヘッシュ)の誕生日です。 おかげで、彼女がジョニー・デップの妻役で出演した、 次の映画を取り上げる機会ができました。
フェイク Donnie Brasco 1997年アメリカ マイク・ニューウェル監督 ジョセフ・ピストーネ 【フェイク―マフィアをはめた男】集英社文庫
ジョニー・デップは、 実在するFBI捜査官ジョー・ピストーネを演じました。 もっとも、映画の中では、ほぼ「ドニー」の名で呼ばれています。 この映画の原題でもあるドニー・ブラスコは、 あるマフィアの組織におとり捜査のために潜入した際の ピストーネが用いた偽名でした。
邦題「フェイク」は、 マフィアの仲間内で信頼を得るに至ったドニーが、 結局はマフィアとしての「偽物」だったことと、 ドニーが特に心を通わせることになる 左利きの男「レフテイ」(アル・パチーノ)との出会いが、 宝石の真贋の鑑定がきっかけだったことに由来すると思われます。 そこそこいいところを突いていたのではいなでしょうか。
映画が日本で公開された97年秋の当時、 この映画のモチーフとなった ジョー・ピストーネは50万ドルの賞金首で、 原作となった手記発表の記者会見の席にも、 かなり厳重なる変装であらわれた……というような記事を 読んだ覚えがあります。 (多分、今現在も状況は変わらないと思いますが)
囮捜査の過酷さに驚きました。 特命の内容を知っているのはごくわずかな者だけなので、 「仲間」と一緒のとき、FBIの同僚にたまたま出くわしても、 口裏を合わせてもらうことすらできず、 場をごまかすため、チンピラやくざ丸出しで同僚に暴行を働いたり、 「仲間」に使うような粗野な言葉を、 たまたま妻マギー(アン・ヘッチ)相手に使って、 「私の夫は大学を出ているはずなんだけど?」と 嫌みを言われたり(当然妻も特命を知りません)、 任務のため、ほかのすべてを失いそうなのめり込み方でした。
レフティは私生活では大の動物好きで、TV番組を熱心に見たり、 仲間からプレゼントされた「動物」のエサの確保に難儀したり。 「仕事」でマイアミを訪れた面々が、いかにも柄の悪い様子で ビーチではしゃいだり、 上納金の工面に四苦八苦したりと、 何とも言えないおかしみも、うまく演出していました。 ストーリーも比較的頭に入ってきやすいと思います。 心を通わせれば通わせるほど後が辛いことを知りつつ、 人間としてのレフティに惹かれ、 それでも任務を忘れないドニーの姿は、十分涙を誘うものです。
それから、これは個人的な見解ですが、 注目ポイントは、 マフィアの1人にブルーノ・カービィがいることです。 結構情けない最期を迎える役ではありましたが、 『グッドモーニング・ベトナム』での退屈なDJ、 『スリーパーズ』では、主人公ジェイソン・パトリックの父親役、 『恋人たちの予感』で、ビリー・クリスタルの友人で、 キャリー・フィッシャーと結婚する役、 『シティー・スリッカーズ』では、またまたビリー・クリスタルと共演し、 ビリーにしょーもない質問ばかりする友人……と、 かなり多彩な役をこなしていらっしゃいます。 この『フェイク』では、中途半端な散切り頭が鳳啓助ふうで、 何となく憎めない雰囲気を醸し出していました。
「男の友情物語」というジャンルができそうなほど、 その種の映画は多いものですが、 中でも強力にお勧めしたい1本です。
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