気ままな日記
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今朝テレビで、自費出版をめぐり、出版社と著者との間で争いがおきているというニュースが報道されていた。 その出版社の主催する出版説明会に、わたしも行ったことがある。 昨年の夏のことである。 選んだ基準は、公募の雑誌や新聞に、大々的な広告をうっているので、それならまあ大丈夫だろうという、単純な理由からである。 説明会当日。青山という場所柄、久し振りに見る「都会」の空気にくらくらしながら、近くにあった「おにぎりカフェ」で腹ごしらえ。それでも時間が余ったので、隣接する書店をのぞく。そこには、くだんの出版社から出版された本が、1冊残らず展示されている。レイアウトなども凝っているので、本好きなわたしとしては、こういう場所で働けたら、楽しそう、と思ったものの、本を出してもらう立場としては、ひとりの無名な人間の本を、この大量の本の山の中から見つけ出してもらうことは、至難の業に思えた。(まあ、それは一般の書店でも同じだけど)。 さて、説明会は、若くて見栄えのいい女性社員の方々の進行により、てきぱきと進んだ。20年以上も前に行った「就職活動」的な目で見れば、女性が生き生きと活躍できる印象の職場、といったところだろうか。
今回問題になっているのは、うたい文句どおりに、全国の書店に本をおいてもらえなかったということらしい。 営業活動をしてもその本を店におくかどうかは、書店の裁量に任され、おいたあとの扱いについても、各書店頼み、というのが一般的とのこと。 となれば、具体的なことが契約内容に盛り込まれていず、問い合わせに対して、「今営業活動をしている最中です」と言われてしまえば、それを信じて納得するしかなかったのだろう。 出版各社それぞれに、「売り」にしている内容は違うもので、わたしたちも、その「売り」の内容にばかり目がいくもの。 ちなみに、くだんの出版社は、絶版にしない、というのが「売り」だったようだ。(まあ、供給=印刷の体制は整っていても、需要がなければ仕方がないのだけど)。 実際、本の中身をどうするかで頭がいっぱいで、流通のことにまで、そうそう頭が回らない。華やかな広告のイメージが自分の中で膨らんでしまい、会社に大きな期待をしているというのも確かなのだ。
本離れがすすむ一方で、本を出版することが特別なことではなく身近なことになってきた。読む人の数が減り、出版される本の数が増えてくる。そうすれば、出版社は、生き残りをかけ、次々と出版したい人を募り、書店は書店で、店に置く本を「厳選」せざるをえなくなる、そうなるとこうしたトラブルはこれからも増える可能性はある。 わたしの場合は、タイミングやその他いろんな条件が重なって、最終的には別の出版社から出版することになった。 しかし、本の流通システムに無知な立場にあるわたしたちの盲点をつくような今回のできごと。 これからどういう展開になるだろうか。
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