気ままな日記
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先日横須賀美術館へ行った。 20年以上にわたって、週刊新潮の表紙を書き続けた谷内六郎氏の常設館が併設されていると聞いて出かけたのである。 馬堀海岸から観音埼へのバスに乗り込む。間もなく窓からは、青々とした海と、ゆっくりと進む大型船の姿。毎日海を眺めながら通勤しているというのに、水のある景色は飽きない。
4月にできたばかりの建物は、全面ガラス張りで木目の匂いもまだ新しい。「生きる」―現代作家9人のリアリティ、と題して開館を記念した展覧会が行われていた。 中でも目をひいたのは木村太陽さんのオブジェである。作品を展示してある壁の隅っこが削り取られている。よく目を凝らして見ると、ひとりの男性が、壁にかじりついた写真が貼られている。タイトルはずばり『齧られた角』。 床を這う人間が掃除機に”変身”していたり、床屋の練習用に使う頭がぎっしりと壁に埋め込まれていたり……。 美術鑑賞というと、初めのうちは、まじまじとゆっくりと絵を眺めながら進むのだが、そのうちになんだかじりじりとせっついた気持になって、つい先を急いで出口を目指してしまうのだが、このコーナーだけは、「へえ〜。こういうのもありなんだ」などと心の中で感心しながらゆっくりと鑑賞することができた。
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