木陰の本棚<書庫>
絵本と読み物のあれこれ

2003年03月10日(月) 「野うさぎのフルー」

リダ・フォシェ/文 フェードル・ロジャンコフスキー/絵

いしいももこ/訳編 童話館出版 2002年

FROUX LE LI遵ーVRE
Text by Lida Illustrated by Feodor Rojankovsky 1935
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長らく絶版だったフランスの「生きものシリーズ」のうち、

この「野うさぎのフルー」がまず最初に、

去年の暮れ、童話館出版から復刊されました。

すぐに欲しくて、ブッククラブの配本とともにお願いして

送っていただいたのですが、

娘にはまだむずかしいかしら…と、私の本棚の中に入れていました。

先日、「どんなにきみがすきだかあててごらん」を読んだ時に、

娘が「この大きいうさぎさん、ぴょーんと後ろ足で飛ぶんだよ、きっと。」

と、表紙の絵をさしながら言うので、

そうだ! この機会にフルーも読んでみたらどうだろう…と

取り出して来たのです。


この本は、自然の生き物の姿をちゃんと忠実に描きながら、かつ、

物語として楽しめるようになっています。

冒頭から、このお話は甘くはありません。

フルーのおとうさんはきつねに食べられ、

いもうとはふくろうにさらわれ、

フルーもある日、おかあさんはどこかにいってしまって、

ひとりぼっちになります。

それが、野うさぎの宿命なのです。

でも、そのかわり、野うさぎというのは、

かみさまから三つのおくりものを

生まれながらにもらっているのですって!

(それが何かは、ここでは、あえて書きませんね…ふふっ♪)


先日、娘が熱を出して休んでいた時に、

たまたま教育テレビで、冬の北海道の野うさぎの様子を

見る機会がありました。

雪野原についた野うさぎの足跡を追って行くのですが、

途中、うさぎが追っ手をまどわすために、

ピョーンと飛んで、大きく方向転換しているのが、

足跡の様子から見て取れました。

ちょうど、フルーがりょう犬からのがれるために、

他の野うさぎの足跡のところで、

とんぼがえりをして方向転換したのと同じように!

「わぁー、ゆうちゃん! この間テレビで見た、うさぎさんの

足跡と同じだねー!」と、娘とりよう場の絵を見ながら、

あらためて野うさぎの機転に感心してしまったのでした。


娘には文章が少しむずかしいところもあったようですが、

ロジャンコフスキーの、うさぎの毛質やしなやかな動きが見えるような絵が

娘の手助けとなってくれたようです。

2日にわたって、野うさぎの世界を親子で堪能したのでした。

他のこのシリーズの復刊も楽しみです。


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スズ [木陰でひと休み]

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