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舞台はNYマンハッタンの超高級マンション「ザ・タワー」。最上階に住む大富豪がある日証券詐欺事件で逮捕され、さらにこれまで彼に誠実に尽くしてきた従業員たちの財産や年金までも運用と称して着服していたことが発覚。あまりのショックに怒り心頭の従業員たちはコツコツ貯めた大事な財産を奪還すべく富豪の隠し金を盗み出す計画を立てる…というクライム・コメディ。
普通このテの犯罪ものって「オーシャンズ11」みたくそれぞれ特技を持ったプロが集結して華麗に計画を実行するものですが、この映画では集まったのが完全なド素人集団ってとこが面白い。最後の最後まで「大丈夫かこいつら…?」というハラハラ感が味わえます(笑)。あと設定に共感を覚えるというか、金持ちはどこまでいっても金持ちで庶民の端金など何とも思ってない、割を食うのはコツコツ真面目に働いている大多数の一般層。っていう世の中の不公平感がそのまま具現化されたストーリーなので、ラストがとても痛快です。隠し金を見つけられたことより富豪の悪事をしっかり暴いて罪を償わせたことにスッキリする。まさに“肉を切らせて骨を断つ”。最後まで金で買収しようする彼に向かって「残念ですが当館ではチップは禁じられておりますので」なんて、実に小気味良いじゃないですか!これぞ一般勤労者の矜持ですよ。 私はブレット・ラトナー監督の爽快感とスピード感がすごく好きなんですよね。そのぶん荒削りでご都合展開なところもあるんだけどとにかくダーッと話が進む、この勢いが好き。メイドが偶然錠屋の娘で金庫破りの技術を持ってたとかどう考えても都合良すぎなんですが(しかも最終的には金庫関係ないし!笑)、いいんです楽しいから!そういう細かい部分にいちいちツッコミ入れる気にならず、素直に映画を楽しませてくれるところがラトナー監督の魅力だと思う。
ド素人集団の話でしたがキャスティングは適材適所、個性あふれる面々が集まっててすごく良かったです。主演のベン・スティラーは今回生真面目な役柄だったけど、エディ・マーフィのあのマシンガントークと互角にやり合う車中のシーンはさすがだなと思った(笑)。ケイシー・アフレックの天然ぶりもナチュラルで面白いし、あと個人的にはマシュー・ブロデリックの落ちぶれ感というか(笑)情けない感じがめちゃくちゃツボでした。それと鼻持ちならない大富豪を演じたアラン・アルダの悪役っぷりも見事。捕まってもまるで反省してなくて従業員なんか完全に見下してて、もうほんっと憎たらしいの!(ほめてます) ティア・レオーニが疲れたFBI(でも絶妙にキュート!)っていうのも珍しかったなー。ラトナー監督とティア・レオーニといえば「天使のくれた時間」を思い出します。っていうかラトナー監督を初めて知ったのがあの映画だった。今でも大好きな一本です。
****** ペントハウス 【TOWER HEIST】
2011年 アメリカ / 日本公開 2012年 監督:ブレット・ラトナー 出演:ベン・スティラー、エディ・マーフィ、アラン・アルダ、 ケイシー・アフレック、マシュー・ブロデリック、ティア・レオーニ (劇場鑑賞)
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