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2009年08月16日(日) 「3時10分、決断のとき」

予備知識ゼロで何気なく観てみたのですが、これは拾い物でした。すごく良かった!!!ベール王子とラッセル・クロウの西部劇です。「決断の3時10分」('57)のリメイクらしい。
南北戦争で片足が不自由になった貧しい牧場主ダン(ベール王子)が、町で事件を起こした有名な無法者ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)の護送を請け負う話。ベンは今でいうところの現金輸送車襲撃をやって多額の現金を手にするんだけど、仲間を先に行かせて町で女と遊んでいたので保安官に捕まってしまいます。で、裁判所があるユマに連行されることになる。しかしそのためには、まず駅がある遠くの町まで誰かが彼を護送して3日後の“ユマ行3時10分発”の列車に乗せなければならない。町を出ればベンの手下達(超荒くれ者集団)がボスを救出しようと襲ってくるのは明白だし、これは相当危険な仕事です。するとその場に居合わせたダンが、自分が行く、と志願する。
ダンは真面目な性格だけど家族を抱えて生活に苦しんでいて(妻や上の息子からは冷ややかな目で見られている)、借金もかさみ、下の子供は病気だし、また立ち退きを求められ酷い嫌がらせも受けていた。護送には報酬がかけられていたので成功すれば少なくとも借金は返せる。こうしてダンを含む護送団が結成され、一行はベンを連れて町を出るわけです。

そこからはちょっとロードムービー風、ベンの手下に狙われるのはもちろんアパッチ族が出てきたり脱出劇があったり手に汗握る展開なんだけど、この道中ダンとベンの人となりが少しずつ、絶妙なペースでクローズアップされてゆくのね。ベンは悪党ですが非常に頭の切れる男で、不思議と人間的な魅力があるんです。捕まって護送される途中だというのに常に余裕の態度、逃がしてくれたら護送の報酬の何倍もの金をやるぞ、と笑顔でダンを誘うけれども、ダンは絶対応じない。報酬のために名乗りを上げた彼ですが、持ち前の生真面目さと責任感で護送を完遂させようとその精神は揺らぐことがありません。二人の過去も次第に明らかになり、そうこうするうちにダンとベンの間に奇妙な信頼関係が生まれます。これがいい。すごくいい。なんていうか熱い男のドラマなんだよ…!
そして駅のある町に到着し3時10分ユマ行の列車を待つ、このラスト数十分の展開が素晴らしかった。まさに固唾を呑んで見守るという感じでした。ダンの息子の存在がまた効いていて、はじめ彼は生活もままならない、片足が不自由な父親を軽蔑しており、少年らしく無法者ベン・ウェイドの方に憧憬の眼差しを向けていたのですが、最後に父の偉大さを知る。ダンは父親として息子のヒーローになり、ベンがあの場で去らずにいったん自ら列車に乗ったのもダンに敬意を表したからに他なりません。このへん実にアメリカ的なまとめ方だなと思いました。もちろんいい意味で。

主演二人の演技も最高。ベール王子はもともと好きだから言うことないんですが、ラッセル・クロウがまたよろしい。2007年の作品ということで体もそれほどメタボってないし(笑)、カリスマ無法者が板についてました。監督はジェームズ・マンゴールド。「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」は私的にいまいちだったけどこれはほんと文句ナシだなあ。122分という長丁場なのに全然飽きずに楽しめた。西部劇としても見応えあるし。上映してる劇場あまり多くないようですがこの夏のおすすめです!



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3時10分、決断のとき 【3:10 TO YUMA】

2007年 アメリカ / 日本公開 2009年
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ピーター・フォンダ、グレッチェン・モル
(劇場鑑賞)




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