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2008年01月16日(水) 「ジェシー・ジェームズの暗殺」

ケイシー・アクレック大抜擢ですね!地味に嬉しい。私は以前から兄よりキミに期待していたのだよ。
アメリカで伝説のアウトローとして語り継がれるジェシー・ジェームズと彼を殺したロバート・フォードの物語。ジェシー・ジェームズといえば私が観たことあるのはコリン・ファレルの「アメリカン・アウトロー」なんだけど、ああいうふうにジェシーの活躍を描いた痛快な映画とはまったくタイプが違う。アクションとかは全然なくて、ひたすら重苦しい人間ドラマです。ジェシーではなくフォードの物語といってもいい。

フォードは子供の頃からジェシーの大ファンで、本を読んだり新聞記事を収集したりほとんど信奉者状態。しかし彼が出会った時のジェシーは既に逃亡生活に疲れ、精神的にも追いつめられていた。このへんのフォードの複雑な感情、ジェシーに対する憧れや畏怖や当惑や葛藤がごちゃまぜになって繰り返し押し寄せる感じ(?)がとてもよく伝わってきて、殺害に至る過程に説得力がありました。「お前は俺に憧れてるのか?それとも俺になりたいのか?」とジェシーに問われるシーンがあったけど、これは鋭い指摘だと思います。答えはきっとフォード自身にもわかっていない。たぶん両方なんじゃないかな?こっそりジェシーのクローゼットを開けたりジェシーのベッドに寝てみたりする描写がすごく印象的だった。
ジェシーを演じたブラピもハマリ役。神経すり減らしておかしくなってる雰囲気を上手く醸し出してました。かつて人々を魅了したカリスマ性が今はねじれて周囲を威圧している、そういうオーラ。見るからにこの人はヤバイぞ、っていう。無表情のブラピは美しいけれど怖いです。(そしてやっぱりとってもカッコイイのだ…!)

わかりやすい演出や派手な見せ場はないものの、二人の演技の絡み合いによって序盤から漂っていた冷たい緊張感がじわじわと高まってゆく。だから繰り返しになるけど、殺害シーンに説得力があってそこはすごく納得できた。これ、前半でフォードがジェシーのいとこを撃つエピソードも上手く効いてると思います。もともと反射的にああいうことをしちゃう人なんだよね。ジェシーを撃った時も、綿密な計画があったわけでもない、怒りとか憎しみとか激しい衝動があったわけでもない。形式的には懸賞金目当てという動機もあるけれど、どちらかというとただ撃った、反射的に撃ってしまった、という印象を強く受けました。
それにしてもこういうのを「暗殺」と言うのだろうか?あの状況でわざわざ銃を手放してその上背中を見せるなんて、どう考えても挑発だよね…。まわりくどい自殺だったと言っても差し支えない気がします。

主演の二人以外ではフォードの兄を演じたサム・ロックウェルが良かったです。この人久々に見たなあ。ヘラヘラしながら常に瞳の奥で怯えてる感じが上手かった。
あと内容とは関係ないんだけど、サム・シェパードがブラピの兄というキャストは年齢的に少々無理がありませんか(笑)…父親かと思ったよ! あるいは歳が離れた兄弟なのかと思って改めてパンフ読んだらジェシーとは4歳しか違わないそうで、そんな、ますますありえないだろ!とツッコミ入れたくなりました。

それから私が観たとき映画館があまりにガラガラでびっくりでした(笑)。800席ある大劇場で15人くらいしか人いないんですよ!公開第一週のレディースデイだったのに!ブラピの新作なのに!みんな興味ないのー???



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ジェシー・ジェームズの暗殺
【THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD】

2007年 アメリカ / 日本公開:2008年
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・ロックウェル、
ポール・シュナイダー、メアリー=ルイーズ・パーカー
(劇場鑑賞)


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