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2008年01月23日(水) 「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

めくるめくティム・バートンの世界だと思いました。所詮ミュージカル映画だしー、と高をくくっていたら結構グロくて容赦ない惨劇。ゴシックでブラック。でも色彩や小道具は非常に独特、なにより登場人物がみんなキャラクター化していて実写なのにアニメを見てるみたいなキモ可愛さがあるというか。こういう雰囲気ってどう説明したらいいんだろう、とりあえず“ティム・バートンらしい”と表現する以外に言葉が見つからないわけで(笑)。やっぱジョニデとヘレナ・ボナム=カーターって監督と相性ぴったりだよなあ。変な髪型で顔は白塗りして窪んだ眼窩で二人そのままCGみたいだったもん。ちょっと「コープスブライド」を思い出しました。

ストーリーは復讐劇で、最初から最後まで悲しい話でした。序盤「自分はもうベンジャミン・バーカーではない、スウィーニー・トッドだ」と宣言するシーンがあるけど皮肉にもそのセリフの通りの展開、判事への恨みと復讐心が一人歩きしてしまって肝心の娘と妻の顔すらわからなくなっている、そういう悲しさ。船乗り&娘とかトビー君とか、ラストは少しでも今後の希望を示唆する終わり方かと思いきやそこらへんも曖昧なままだし。徹底してますね。元はミュージカルだそうですが舞台でもこういう流れなのかな。

殺人シーンは結構残虐。しかも無差別殺人です。スウィーニー・トッドは床屋さんなのでカミソリで喉もとをスパッ!とやるわけですが、刃をあててる様子をばっちり映すし流れる血の量もはんぱじゃない。「キル・ビル」といい勝負です(笑)。あとラベット夫人の人肉パイも相当気持ち悪かったなー。最後の方では指がはみ出てたりして…!うおお…
でもただグロいだけではなく絶妙な割合でコミカルっていうか、これはほんとティム・バートンの世界と言うしかないんだけども。序盤で「うちのパイはまずいのよ〜」って歌うラベット夫人のパイがほんとにものすごく不味そうで(笑)しかも超やる気のない歌い方だし目は死んでるしなんか見ていて笑ってしまうのよね。夫人の妄想部分も非現実的でどこかコミカル。トッドの方はまったく乗り気じゃないところがまたなんとも…(笑)。そういえば海岸でボーダー柄のつなぎ水着(?)を着ているジョニデはすごく可愛かった。

全編薄暗いグレーの映像の中で、夫人の妄想とトッドの過去だけパッと画面が明るくなるんだけど、夫人の妄想はまがい物めいた明るさなのに対して、トッドの過去はベンジャミン・バーカーだった頃の幸せがにじみ出るような柔らかい明るさ。とても印象的でした。

ジョニデの歌が聴けたのは珍しかったかも。主演の二人だけでなくみんなそれなりにちょっとずつ歌っていて、判事を演じたアラン・リックマンも良かったです。ていうか考えてみると判事が一番最悪でこの人こそ諸悪の根元なのに、トッドとラベット夫人の無差別殺人があまりに強烈でいまいち影が薄かったのが不思議…(笑)



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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
【SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET】

2007年 アメリカ / 日本公開 2008年
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、
アラン・リックマン、ティモシー・スポール
(劇場鑑賞)




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