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2003年11月11日(火) インファナル・アフェア

うーむ、やられた。これは面白かった。見応えあります。

警察に潜入したマフィア組員とマフィアに潜入した警察官、10年に渡って仮の姿で生きてきた二人の男の運命が、ある大きな麻薬取引をきっかけに動き始める。内部スパイの存在に気付いたそれぞれの組織は、まさに潜入者である彼等に裏切り者を探し出すよう命じるのだった。そうして互いにがんじがらめの状態のまま対立することになるトニー・レオンとアンディ・ラウ。かっ…カッコイイ…!

この映画はもう完全に脚本の勝利っていうか、一種のエンターテイメントではあると思うんだけど、でも純粋にドラマ性だけで勝負している(そして実際そのドラマに引き込まれてしまう)ところがすごいです。例えばこの前の「リーグ・オブ・レジェンド」のように、内容は薄っぺらいけどとりあえずアクションとVFXで押し切っちゃえー!みたいなハリウッド映画とちょうど正反対。あるいはまた、「マッチスティック・メン」「閉ざされた森」のようにどんでん返し的意外性で観る者を驚かすシナリオとも違う。派手にCG使ったり奇を衒った演出は一切せずに、純粋にストーリーの面白さだけで最後まで引っ張るわけです。現実にこんなことあるわけないじゃん!とかそういうツッコミ方もできるけどこういう映画でリアリティをどうこう言うのも野暮な話で、あくまで物語として素晴らしい出来映えなのだからそこを満喫すべきでしょう。出だしはスピーディな切り貼りショットでちょっと戸惑うかもしれませんが観てるうちにぐいぐい引き込まれるから大丈夫。サスペンスとしても十分楽しめるし。


二人の極秘潜入は若い頃から10年に及ぶんだけど、10年もあると身を置いている方の組織での生活がしっかり構築されてしまうわけで(ボスや上司との関係とか部下からの信頼とか)、その辺の自我の葛藤が何とも切なかった。二人とも、素質があるからこそ潜入者に抜擢された切れ者なわけですよ。本来ならば自分らしく生きているはずだった、そんな彼等の誰にも言えない孤独と苦悩、やるせない哀しみ。最後まで観ると原題「無間道」が胸にズシンと響きます。運命に翻弄されつつも男が自ら身を置く地獄、絶え間ない責め苦が続き、死すら許されぬ無間地獄。うう、泣かせる〜。


しっかしまあ、アンディ&トニー、二人ともいい男です。ちょっと甲乙付けがたいものがありますが、でも強いて言うなら私はトニー・レオン派かなー。だってこの人上目遣いするんだよ!それがまた捨て犬みたいな哀しげな瞳でさ、あんな目をされちゃったらもう、映画館にいた女子は全員身の程知らずにケリー・チャンになりきって心の中で彼を抱き締めたに違いありません。警部が目の前で殺された時の、今にも泣き出しそうにわなわなと震える瞳とかたまらなかったです。ああトニーーーラブーー!
いやもちろん、演技は二人とも素晴らしいですけど。そして素晴らしいと言うならば双方のボスを演じた二人も迫力あってすごく良かった。普段ハリウッド映画に毒されてる私みたいなミーハーにとっては色んな意味でたいへん新鮮な一作でありました。




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インファナル・アフェア 【INFERNAL AFFAIRS:無間道】 

2002年 香港(中国) / 日本公開 2003年
監督:アンドリュー・ラウ
出演:アンディ・ラウ、トニー・レオン、
アンソニー・ウォン、エリック・ツァン
(劇場鑑賞)



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