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この日たまたまメガネを家に忘れてしまって、うわーしまったー!字幕が見づらいー!と一瞬焦ったのですが、よく考えたら別に大丈夫じゃんね、邦画なんだから(笑)。珍しく邦画が続いてます。(ってたった二回だろうが)
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六月、鬱陶しい梅雨の東京。サラリーマンの夫と平凡な生活を送っていた主人公のりん子のもとに、ある日突然、彼女の自慰行為を隠し撮りした写真が送られてきた。差出人は以前仕事で電話相談を受けたことがある男で、彼はその後もりん子にストーカー的に電話で接触し、さらなる恥辱的行為を要求するのだった。妻の官能的な一面に気付いて戸惑う夫もやがて事態に巻き込まれ、三人が関わり合って性が、欲望が、六月の雨の中で解放される。
全編青みがかったモノクロ映像、セリフも少なく展開に十分な説明があるわけでもなく、無論ストーリーはあるけれどもどこか感性に訴えるような雰囲気というか、つまり普段の私だったら「あーもう!だから邦画は苦手なんだよー!わかんないよー!」とか言ってるだろうと思われる(笑)仕上がりなんだけど、本作に限ってはすごく納得で満足だった。というのは、実は夏頃映画より先に本の方を読んでいて(感想は→こっちの日記7/9に)、今回の映画はこの小説から受けた印象をそのまま映像化してくれたという感じだったのね。非常に良い意味でイメージ通りだった。この単行本は、塚本監督自身の作で「六月の蛇」の活字版といった趣なのですが、ストーリーはあくまで映画に忠実、それでいて映像に馴染まない部分がさりげなく言葉で説明されていて、映画の理解に役立ちます。何て言うか、本と映画が絶妙に補完し合っている。いわゆる“原作”でも“ノベライズ”でも“脚本”でもない、こういうのってちょっと珍しいんじゃないかなあ。
このお話は、表向きりん子の性の解放が主軸になっているのだけれども、同時にりん子と夫とストーカーという、その三人の関係性が非常に重要だと思いました。りん子夫婦の過去だとか男がどうやってストーキングに至ったかとか、映画ではそういうことには一切触れられず、ただ彼等が相互に関わり合ってからの展開だけをひたすら描く。そうして三人揃って迎える雨の中のクライマックスはものすごい引力、圧倒的な絶頂感でありましたよ。その後全裸ずぶ濡れのままで微笑した黒沢あすかの美しいこと! 欲望果てた直後だというのにいらやしさは微塵もない、ベネチアもあの凛としたアルカイック・スマイルに打たれたのではなかろうか。
ひとつ残念だったのは、今が十月であること。どう考えても爽やかな秋空が似合う映画ではありません(笑)。やっぱり頑張って六月中に観ておけば良かったよ! 常に息苦しく、じっとしていても汗ばむような東京の梅雨にこそふさわしい一品でありました。
****** 六月の蛇 【A SNAKE OF JUNE】
2002年 日本 監督:塚本晋也 出演:黒沢あすか、神足裕司、塚本晋也 (劇場鑑賞)
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と、ちょっとアジアンな顔ぶれの映画が続いただけで実はもうすっかり金髪碧眼禁断症状が出てしまっているわたくしでございますが。あああ笑って眺めてツッコミ入れて楽しめる荒唐無稽なハリウッド映画が観てーよ! 求む娯楽! とりあえず今狙ってるのはですね、リーグ・オブ・レジェンドと、あとはやっぱり、キールービール〜! 近いうちに絶対観に行きます! 期待してるぜタランティーノ!
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