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「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ監督の新作。約5年間の沈黙を破り満を持しての登場です。ってもうとっくに公開終了してるっつーの。今更感想書いてる私ってなんだろう。すみません実は見たの二週間前です。
えーと、スパイのお話、で、キーワードは洗脳。前作がキューブという入れ物の迷宮であったのに対し、今回のラビリンスは一人の男の、脳。ずばりソフトウェアであります。「CUBE」では、ある種の不条理が描かれつつもそこで発生する極限の人間模様を観察していられる視点が我々観客に提供されていたのだけども、今回は見ている側もほとんど主人公と同じ視点しか与えられていない。何がどうなってるのか誰を信じていいのか長い間よくわからない。それゆえアメリカ中を駆け回るというお話になっているくせになんだか奇妙な閉塞感があります。
事の顛末そのものよりも過程において興味を惹くのが上手いというか、うーん何て言うかなあ、これは「CUBE」の時も感じたんだけど、一体どう決着がつくんだー?と見ていてすごくわくわくした割に、私はラストシーンにはそれほど感慨が無いんだよね。この点が両者に共通の後味だったりするわけで、(もっと言うと「ELEVATED」にも似たようなものを感じるわけで、)つまりこの監督は引っ張り方が独特なんだと思う。
あとは映像の不思議な質感も独特です。メタリックで人工的。色がないわけじゃないのに無機質。近未来なのにちょっとレトロ。そういえば、登場人物たちは20〜30年前の英語のアクセントや言い回しで喋ってるのだそうです。(パンフレットに書いてあった)
主演のジェレミー・ノーザムは非常に良かったと思います。この映画の雰囲気にピッタリ。序盤〜途中〜ラスト、とほんとに違う印象だったよ。ちなみに「ゴスフォード・パーク」にも出てたそうですが、あの時ともまったく印象が違います。すごい。役者だね。
あとナタリ作品常連らしいデヴィッド・ヒューレットという俳優さんも、気色悪くて大変いい感じです(誉めてます)。なんかリンチの映画の脇役とかで出てきそう。 リンチといえば、主演のジェレミー・ノーザムは時折、すごーく時折ですが角度によってちょっとカイル・マクラクランに似て…ません…か…? え?却下?昔好きだったんですが。新作「ミー・ウィズアウト・ユー」は見に行こうかなあ、と思ってます。(ってこの映画と全然関係ない話で締めるなよ…)
****** カンパニーマン 【CYPHER】
2002年 アメリカ / 日本公開:2003年 監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演:ジェレミー・ノーザム、ルーシー・リュー、 ナイジェル・ベネット、デヴィッド・ヒューレット (劇場鑑賞)
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