一日後記

2004年07月21日(水) 手紙。

ひさしぶりに、実家から電話があった。
こっちは夏負けしているというのに、実父は
相変わらずの食欲なようで、ホッとしながら少し呆れる。

そして『憶えてるかどうか分からないけど』と切り出された話。

神戸に住んでいる父方の伯母が20年前に他界した
祖父のものを整理していたところ、書類か何かと一緒に私が子供の頃
祖父宛に書いた手紙が2通出てきたのだそうだ。
それを伯母は『本人に渡してあげて』と実家へ送ってきたという。

扁桃腺の切除手術のことが書いてあったようなので、
小学校5年の頃だろう…無論私は書いた内容など憶えていない。

『何が書いてあった?』
おそるおそる聞いた私に、実母が言った。

『絵がかいてあるわよ。缶がフタ開いた状態で、ラベルに
 いのししの缶詰って書いてあって
 中からいのししがゾロゾロ出てきてるみたいな。』
 (別に本文でいのししの話題など、ひとつも書いてない)


……何だそりゃ。


それ以外は実母に言わせれば小学校5年にしてはやたら大人びた文だという。
書いてあったことは学校のこととか、書初めで賞を取れなかったとか
そんな他愛もないことだけれども、その手紙を大好きだった祖父が
大事にしてくれていたことが、嬉しかった。
おまけに、ちょっと泣けてきた。

ちょうどその直後あたりから病に倒れて、
亡くなる数ヶ月前からは子供の顔すら分からなくなってしまっていたから
おそらく『ちゃんと読んでくれた手紙』の最後の方だったかもしれない。

とりあえずはその手紙、実家に帰るまで読むことはないけれど
何だか今から背中がこそばゆい気がする。




 < 過去  INDEX  未来 >


Haruki [MAIL] [HOMEPAGE]