僕たちの終わり■2003年02月09日(日)
朝9時に生徒の家に着いた。
「おはよ…。」
出迎えた生徒はまだ眠気が取れないという様子だった。
けれど、ここ3晩続いた不眠がなおったことに僕はむしろ安心した。
今日の試験は開始時刻がやや遅いので急ぐことはなかった。
出発前に勉強をした。
彼女は真剣な表情で僕に質問をし、僕の説明を聞いていた。
10時半に生徒を車に乗せ、出発した。
始めラジオを聞いていたが、生徒はアヴリル・ラヴィーンのCDをかけた。
途中コンビニにより、生徒はマルボロ・メンソールとコーヒー、クリームパンを買った。
それから車で試験会場へ向かう最中、彼女はパンを食べ始めたが、
「やっぱ食べれなくなってきた。」
と半分を食べ残し、後はたばこを吸っていた。
到着するまで、僕たちに会話は少なく、アヴリルの声だけが車内に響いた。
会場近くの駐車場で入室時刻を待った。
「最後に、1曲目聞いてから行く。」
生徒は"losing grip"を流し、小声で歌詞を口ずさんだ。
「よし、わたしは出来る!絶対勝つ!」
会場へ入る時間が近づくと、生徒は両の手で握りこぶしを作って自分を奮いたたせていた。
そうだ、君は出来る、と僕も彼女に声をかけた。
「行って来るね!」
生徒は車を降り、会場へ向かっていった。
生徒の姿が見えなくなり、僕は車で一旦自宅に戻り少し休んだ(そして前日分の日記を書いた)。
夕方、会場へ生徒を迎えに行った。
出てきた生徒は、おまたせ、とひとこと言ったきり、歩いている間、唇を噛んでいた。
車に乗り込み、僕が、おつかれさま、と言うと彼女は、
「凄いよ今日は!てか、やばいくらい出来た!」
と、親指を立てていた。
よくやったね。
帰り道、生徒は始めこそ興奮気味にしゃべっていたが、10分もしないうちに眠っていた。
生徒の家の前につき、僕は彼女を起こし、改めて、おつかれさん、よくやったね、と言った。
生徒は目を覚ました。
「うん…おつかれ…。先生はこのまま帰る?それとも、うちに寄ってく?」
ああ、帰るよ。
疲れたろ、今日は早く寝ておきな。
「うん、じゃあね。」
ん、じゃな。
生徒は車を出、家へと帰っていった。